「いい石」をつくる石工たち

本サイトにおける「いい石」とは、日本の石を素材として、日本の石工さんが心を込めてつくった石製品のことです。

石工:亀川洋(亀川石材店、神奈川県真鶴町)

 



古くならず、深くなる「むしり仕上げ」


「墓石は、心を込めてしっかりと手をかけてあげると、年月を経ても劣化しません。むしろ風合いが増して美しくなります。その美しさを最大限に引き出すため、昔ながらの一打一打ノミで叩いてつくる『むしり仕上げ』(ノミ切り)にこだわっています。表面にノミ跡を残す仕上げのため、時の流れとともに風雨に打たれて苔がのり、黒っぽく変化します。古くならず、深くなる―そういう味わいを楽しめる工法なのです」

 関東を代表する銘石「本小松石」採掘・販売元として大正12年創業。有限会社亀川石材店4代目の亀川洋さんはそう話します。亀川さんは愛知県岡崎市の石材産地で4年間の修業経験があり、そこで習得した伝統技法「むしり仕上げ」を駆使して五輪塔をつくっています。

むしり仕上げのようす(同社HPより)


ありがたいお墓「五輪塔」


 丸・三角・四角など5つの形を組み合わせた五輪塔は、平安時代に誕生し、鎌倉~室町時代に全国へ普及したお墓です。その意味をひと言で説明すると、五輪は、古代インドにおける宇宙を構成する五大要素「空・風・火・水・地」を表わしたもので、これに空海が説く「識(識大)」を加えることで胎蔵界と金剛界による完全なマンダラとなり、さらに(両界それぞれの印を結ぶ)大日如来の姿を重ね合わせた「亡き人を成仏させ、極楽往生させる」ありがたいお墓なのです。


GO輪塔展(2020年、コミュニティ真鶴)

 
 都内の墓地でピカピカに磨いた四角い墓石が並んでいるのを見て、「この世に生きた証として、違う形のお墓があっていいし、もっと自然素材でしか成し得ない風合いがあってもよいではないか」と思ったことが、むしり仕上げの五輪塔をつくるきっかけになったそうです。


SDGsのお墓「GO輪塔」を考案


 また同社は「かながわSDGsパートナー」の一員として、その活動を象徴する五輪塔もつくっています。成人男性であれば重機なしで人力だけで運搬・設置できる(=地球温暖化の一因とされる温室効果ガスの排出量削減に貢献する)ことを基本コンセプトとして、本小松石の端材を使ってむしり仕上げで完成させるSDGsのお墓(五輪塔)を「GO輪塔」と命名して商品化。その本気度は、一般社団法人エシカル協会が認定する「エシカル・コンシェルジュ(倫理・道徳的な行動を促す案内人)」の資格を取得したことからも充分伝わってきます。


成人男性なら軽々と持ち運びできる大きさでつくられた「GO輪塔」


心穏やかに暮らせる豊かな時間を


「むしり仕上げには、手作りならではの温もりがあり、先祖に対する誇りや想いとともに、心穏やかに暮らせる豊かな時間を感じていただけます」と亀川さんは話します。

 亀川さんの優しく温かい人柄、大きな包容力と安心感、そして地域資源の本小松石をこよなく愛する気持ち――それらも亀川さんが手がけた製品や作品の大きな魅力となっています。

顔のパーツを石でつくった福笑い(左)と同社展示場

庵治ストーンフェア2023に出展した際の展示

基本情報

亀川洋(亀川石材店、神奈川県真鶴町)

神奈川県足柄下郡真鶴町岩126

亀川洋(亀川石材店、神奈川県真鶴町)のいい石一覧

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