「いい石」をつくる石工たち

本サイトにおける「いい石」とは、日本の石を素材として、日本の石工さんが心を込めてつくった石製品のことです。

石工:延島栄一(延島彫刻、茨城県桜川市)



お施主様に喜んでいただける製品をつくる

「私は職人なので、お施主様に喜んでいただける製品をつくるように努力しています。彫刻家の先生の場合は、その先生の作品がほしくて、皆さん購入されますが、私は職人ですのでそういうことはありません」

 延島彫刻の延嶋栄一さんはそう話します。「私は職人」という言葉を繰り返しますが、2018年2月に97歳で亡くなられた造形美術家の三橋國民先生(東京都名誉都民)の作品づくりを手伝った経験もあることから、自分の立場をわきまえての言葉です。

 また延嶋さんは、「自分がつくっているものは作品ではなく製品」といいます。しかし実際につくられたものを見ると、延嶋さんの個性や思いが感じられ、それぞれ立派な作品です。



愛らしいお地蔵様が女性に好まれています

 延嶋さんは灯籠づくりからスタートした延島彫刻の2代目で、石都・岡崎の石正石材で4年間修業しています。「彫刻をやりたかったので、親父に相談したら、『岡崎がいいのでは』という返答がありました」と延嶋さん。

 石正石材では、仏像彫刻を主に学んだことから、茨城に戻ってからは石彫品づくりが増え、愛らしいお地蔵様が女性に好まれています。お客様の要望に合わせて石彫品をつくり、まさしく延嶋さんの冒頭の言葉のとおり、「お施主様に喜んでいただける製品」を提供しています。


「三橋先生は気さくな方で、この工場にも何度もお越しいただき、一緒に仕事をさせていただきました。知らない世界のことをいろいろと教えてくだり、学んだことは多いですね」

 三橋先生の考えは三橋國民著『石造美術ってなに…』(石文社)にあり、そこには石材業界に必要なことが数多く書かれています。

 延嶋さんは曹洞宗大本山永平寺における「道元禅師生誕800年記念」の際に三橋先生が制作した宝篋印塔や無縫塔、灯籠、またモニュメント「ほほえみの像」(NHK学園)、「明けゆく」(JR町田駅前)といった数々の作品づくりの手伝いをしてきました。

左から「道元禅師生誕800年記念」の際に三橋先生が永平寺に寄進した創作灯籠「菩薩文灯籠」、菩薩像を彫った灯籠の火袋部分を確認する三橋先生、事務所に残る同火袋部分の見本

延島彫刻工場にて、三橋先生と一緒に作品「明けゆく」を制作する延嶋さん(頭にタオルを巻いた男性)
 

モニュメントなど幅広く石製品を制作しています

 延嶋さんが茨城県立伊奈高校ハンドボール部の優勝記念モニュメントを制作していた際には、手の動きやボールのかたちなど、モニュメントに躍動感が出るように、三橋先生からアドバイスをいただいたこともありました。

「私はボールを普通に丸くしようと思いましたが、三橋先生は手で握っているのだから、『ボールは少し潰す』と。ちょっとしたことですが、やはり完成度は違いました」

 延嶋さんは仏像だけではなく、モニュメントなど幅広く石製品を制作しています。それはあくまでも職人としての仕事で、施主から話を聞き、それをスケッチにし、打ち合わせを重ねて制作に入るという工程です。



 延嶋さんは「できるだけ国産の石を使い、石は山まで自分で買いに行きます。今後もこれまでどおり、職人としてコツコツとやっていきたい」と話します。全国的に彫刻職人が減少するなかで、延嶋さんは茨城産地で頑張っているうちの一人です。工場は真壁産地(茨城県桜川市)にあるので、茨城方面に行く機会があれば、ぜひ足を運んでください。


お地蔵様と大きな台石が一体化したタイプもあり、台石には好きな文字や詩などを刻むことができます

 

 

基本情報

延島栄一(延島彫刻、茨城県桜川市)

茨城県桜川市真壁町下小幡416-1

延島栄一(延島彫刻、茨城県桜川市)のいい石一覧

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