「いい石」をつくる石工たち

本サイトにおける「いい石」とは、日本の石を素材として、日本の石工さんが心を込めてつくった石製品のことです。

石工:齋木三男(齋木七郎石材本家、群馬県中之条町)


石工と彫刻家の二刀流

「家業の石屋としての仕事をしながら、 いろいろな出会いのなかで彫刻の仕事をいただいています。足で稼いでいる感じで、石屋さんの枠を取り払うために頑張っていますが、いつも『できます』といってから悩んでいます(笑)」

 齋木さんは地元の高校を卒業後、新潟県の彫刻家(故・加藤亮氏、石彪石彫工房代表)のもとで5年間修業を積み、現在に至っています。伝統的な手彫りでの石彫を基本に、石仏から彫刻、モニュメントまで制作する石材業界の二刀流です。

石仏の数々(工場にて)

群馬県中之条町「SHIN湯治ホテル〈LULUDルルド〉」に置かれている齋木さんの作品(一部)


活動は多岐にわたる

 何を彫るにしても段取り八分で、かたちを理解して、ちゃんと準備ができれば、勝手に体が動いていきます。かたちがわからないと、石を眺めているだけになってしまいますね」

 群馬県石材商組合創立50周年記念事業(2014年)では、県のマスコット「ぐんまちゃん」の石像も制作。彫刻家として国内外のさまざまな展覧会や芸術祭に作品を出品し、地元の群馬県中之条町において隔年で開催されている国際現代芸術祭の中之条ビエンナーレでは、2015年と2021年に実行委員長を務め、その活動は多岐にわたっています。

タイ・チェンマイ交流展(2016年)にて

石の食器

群馬県中之条町のマスコットキャラクター「なかのん」&「かなっこ」(新潟県産千草石)


石造物の修復も率先して行なう

 石造物の修復も率先して行ない、「40歳のときから、1ヵ寺につき1体、 廃仏毀釈などで破壊された石仏を無償で修復するプロジェクトを行なっています」と齋木さん。「石屋として食べているのだから、 自分ができる慈善活動として」と、 その理由を付け加えます。

 2005年には、中之条町のシンボル的な存在である、霊山の「嵩山(たけやま)に祀られた約300年前の観音群およそ100体を、約2年間かけて修復しました。地元紙でも「平成の大修復」として大きく報道され話題になりました。

「県内で知り合ったご住職、修復に興味のあるようなご住職に対して、プロジェクトの趣旨を話しています。その流れで新たな仕事をいただくこともあります。また、ご住職同士の情報交換により、別のご住職を紹介していただく場合もあります。石造物を新しくするだけではなく、石屋として修復できる技術があることをお伝えする必要があると思っています」

 最近では、江戸時代につくられた奪衣婆の石像を有償で修復しました。住職から「顔と首だけでずっと気になっていた。 体をつくってくれ」と相談があり、齋木さんは体をイメージして修復。この奪衣婆の修復は、同寺にある観音様を無償で修復した際に依頼された仕事でしたが、 40歳から現在に至るまで、 無償で直した石仏は20体ほどで、それぞれ感謝されています。


江戸時代につくられた奪衣婆の石像を修復。顔と首だけが残っており、体の部分は想像して修復した(群馬県みなかみ町・曹洞宗嶽林寺)

自分で動かないと何事も始まらない

「家業とのバランスを踏まえながら、彫刻でやっていければ一番いいですね。手仕事がしっかりと続けていけるように、無駄かと思うようなことをしていかないとダメだと思っています。出会いもそうですが、自分で動かないと何事も始まらないと思っています」

 齋木さんは名前のとおり三男(さんなん)で、長男である利一さんと一緒に家業を守ってきました。次男は県内の別会社で働いていますが、 石仏師として「齋木松雲(本名・日出次)」の名前で活躍しています。現在は甥の一男さん(兄・利一さんの長男)も一緒に仕事をしています。

 齋木さんが石工と彫刻家の二刀流で、これからどんな作品をつくっていくのか楽しみです。

基本情報

齋木三男(齋木七郎石材本家、群馬県中之条町)

群馬県吾妻郡中之条町中之条1921の2

齋木三男(齋木七郎石材本家、群馬県中之条町)のいい石一覧

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