現場レポート

釈迦苦行像等の入仏慶讃法要 袈裟匠・草戸庵にて

2024.06.12

現場レポート

株式会社石文社

苦行像の石種は庵治石細目(蓮華台も同じ)。本体の高さ尺八寸 

 

釈迦苦行像等の入仏慶讃法要 
袈裟匠・草戸庵にて

 
 袈裟匠・草戸庵(植田浄光代表)は滋賀県近江八幡市にある正圓寺で始まり、伝統を守りつつ新しい感性を大切にした法衣・荘厳品を制作しています。その店舗正面に釈迦苦行像と四国八十八ヶ所霊場の「お砂踏み」の石碑がこのたび設置され、お釈迦様の誕生日とされる去る4月8日、それらの入仏慶讃法要が執り行なわれました。

入仏慶讃法要前に釈迦苦行像に巻いていたさらしを外す兼子さん。今回の入仏慶讃法要では、釈迦苦行像と四国八十八ヶ所霊場の石碑だけではなく、金箔截金大日如来坐像(石碑の左隣・額入り)の性根入れも一緒に行なわれた

 釈迦苦行像と石碑を制作したのは、天保元(1830)年創業の老舗石材店である石大・兼子石材店(滋賀県近江八幡市)の六代目・兼子裕司さん。現在57歳で、石都岡崎で狛犬づくりを得意としていた(株)成瀬石材商会(廃業)で6年近く修業した経験を持ちます。

「自分の死後も残るものにお性根を入れるのですから、その重みを実感しています。釈迦苦行像の出来栄えは素晴らしいですね。制作過程を見ていますが、さらに彫り込んでおられており、石のボリュームは減っているはずですが、完成した姿は制作中よりも大きく見えました。姿がクッキリしたことで、存在感が増したのでしょう」

釈迦苦行像を中央に、植田代表(右)と兼子さん。
台石の位置に散水栓があり、前面は空けた


 こう話すのは草戸庵の植田代表。実家がお寺(草戸庵の始まりである正圓寺)で、すでに出家しており、僧籍を持つ。釈迦苦行像と石碑設置の施主でありながら、自ら入仏慶讃法要を執り行なったということです。

 「見栄をはったつもりはありませんが、自分のブライドとしてよいものを残したかった。兼子さんとの出会いが大きかったですね」(植田代表)

 釈迦苦行像と石碑の設置は店舗前の荘厳さを保つためであり、兼子さんの高い技術があったからこそ生まれた空間といえるでしょう。

 

 
●袈裟匠・草戸庵(けさしょう・そうこあん)
制作工房:滋賀県近江八幡市安土町上豊浦1714西川ビル1F
http://kesashousoukoan.moon.bindcloud.jp/


●石大・兼子石材店
滋賀県近江八幡市安土町常楽寺602
https://ishidai1830.jp/