現場レポート
感動と勇気を! 「絹谷幸太展 -Stone Sculpture Park-」いりや画廊で開催中!
作品「友情の懸け橋」六大州の石を日本の石でつなぐ
彫刻家・絹谷幸太氏の個展「絹谷幸太展 -Stone Sculpture Park-」が2021年1月18日から2月6日(土)まで、東京・入谷のいりや画廊で開催されています。タイトルに「Park(公園)」とあるように、まず驚かされるのが、会場全体に芝(人工芝)を敷き、観葉植物などの植木を配していること! 屋内でありながら、まるで公園のような空間に一気に心が躍り、もうワクワク! 絹谷氏の彫刻作品との距離感もグッと近くなります。
「コロナ禍でできることは、皆さんを元気づけること。私の作品に触れていただき、少しでも感動と勇気を与えられたらと思っています」と絹谷氏。聞くと、いりや画廊学芸員の園浦さんとおふたりでワイワイ楽しみながら会場を設営されたとか。普段はいわゆる“ホワイト・キューブ”のいりや画廊で、芝を敷いたり、展示空間をデザインするのは初めてのことらしく、園浦さんも「来場される方々が皆さん『わぁ!』って笑顔になって、そのまま彫刻に触ったり。こういう彫刻の見せ方(展示)も大切なことですね」と、やっぱり笑顔!
人工芝や植木を配する会場。彫刻作品との距離が縮まる
今回は大小の彫刻作品8点を発表。上写真の作品「友情の懸け橋」(W3300×D900×H600ミリ)は世界六大州の石(ブラジル:青花崗岩、ドイツ:石灰岩、南アフリカ:片麻岩、オーストラリア:花崗岩、インド:砂岩、アメリカ:花崗岩)を組み合わせ、それぞれの石を日本の石(稲井石、稲田石、チャート、万成石、三波石)の鎹(かすがい)でつなぎ合わせています。
「世界中がいままでにない不安に覆われていますが、みんなで力を合わせて乗り越えたい。この難局に、日本の力は不可欠であり、重要な役割を担っているはず」(絹谷氏)
作品に使用する石について地質学者に学んだり、産地(丁場)の職人さんの話を聞いたり、その地域での役割や歴史などまで把握して、「どうしたら石が生きるか、石の声を聴きながら制作する」という絹谷氏。単なるカタチの追求ではなく、「作品(石)に触れて、自然の存在や力、地球そのものを感じてほしい」という想いがその根底にはあるようです。
作品「友情の握手を贈る」10ヵ国の石で構成
作品「友情の握手を贈る」(W2400×D2400×H225ミリ)は、インド(花崗岩)、イタリア(花崗岩)、ギリシャ(大理石)、ナミビア(花崗岩)、スペイン(花崗岩)、フィンランド(花崗岩)、ブラジル(花崗岩)、日本(花崗岩)、ノルウェー(花崗岩)、アメリカ(花崗岩)と、すべて違う国の石10個で構成。公園にあれば、子どもたちがそれぞれの石にすわったり、抱き着いたりして遊んでいるんだろうなぁと想像できて、これもまた楽しくてあたたかい作品です。
石、自然に真摯に向き合い作品を生む絹谷氏。皆さんもぜひ会場で、その作品に触れてください。きっと、あたたかい何かに包まれます(コロナ感染予防対策はお忘れなく!)。
作品「相思」フランス産大理石
中央:作品「仁」フランス産大理石
絹谷幸太氏と作品「友情の握手を贈る」
◇絹谷幸太展 -Stone Sculpture Park-
会期:2021年1月18日(月)~2月6日(土)
時間:11時30分~19時30分
*日曜休廊、最終日は16時まで
会場:いりや画廊
https://www.galleryiriya.com/