現場レポート

いりや画廊「砂川泰彦彫刻展-夜空の彼方-」 心あたたまる彫刻たち

2024.04.10

現場レポート

株式会社石文社


砂川安泰 夜空の彼方会場風景


彫刻家・砂川泰彦氏の個展「砂川泰彦彫刻展-夜空の彼方-」が2024年3月25日から4月5日まで東京・入谷のいりや画廊で開催されました。沖縄県産琉球石灰岩、同・砂岩、黒御影石、安山岩、大理石の彫刻作品12点が展示されました。

砂川氏は1968年、沖縄県生まれ。90年、沖縄県立芸術大学卒業。東京や沖縄での個展、国内外のグループ展やシンポジウムに多数参加。現在は沖縄県立芸術大学で教授を務め、後進の指導にも取り組まれています。

今回の作品は、個展のテーマ「夜空の彼方」のように、砂川氏が日常の夜の帰り道で出合ったもの、考えたことを石で彫ったもの。会場に掲示されていた砂川氏の〈ごあいさつ〉がとても印象的でしたので、以下にご紹介します。

「2017年以降、勤め先からの帰りはいつも遅く、夜の闇の中に存在する光に癒されていた。
プリン山公園のすべり台やブランコを見つつ、学校横の並木通りの夜道を歩く。
夜空を眺め、電線と屋根が歩きながら交差し、月にかかる。
月が出ていればそれだけで心が動く。
あの月の遥か彼方に違う世界がある。
そこに繋がる気配が感じられ、歩みもゆっくりとなる。
昼間の光より月の明かりが心地いい。
月に照らされた雲が静かに陰影をつくり、彼方に連れて行ってほしいと願う。
手をつなぎ歩いた道、夜は昼間の記憶を思い出させる。

気が付けば鳥をいくつか作っていた。
大空へはばたく鳥ではなく、落ちていく瞬間。
ただ、その後は切り返してダンスのように横へ旋回し、次々にステップを踏むように上下回転する。

雨が降る夜に限って、電線にとまり肩寄せ合う鳩を数ヵ月も見る。
私たちのように寒い中、雨に濡れて存在している」


砂川安泰 夜空の彼方作品「雨の中の鳩」 2024
安山岩 H22×W14×D17


砂川安泰 夜空の彼方作品「夜空 -Night Sky」 2023
砂岩(沖縄) H15×W20×D5


砂川安泰 夜空の彼方左:作品「To Sisters」 2019
大理石 H21×W12×D12
右:作品「月夜の散歩 -満月」 2023
砂岩 H13×W16.5×D2.5


砂川安泰 夜空の彼方左上:作品「四葉のクローバー」 2024
黒御影石 H40.5×W29×D3.5
右上:作品「プリン山公園」 2024
黒御影石 H39×W28×D4
左下:作品「月夜の散歩 -10月」 2024
黒御影石 H40×W29×D3.5
右下:作品「月夜の散歩 -7月」 2024
黒御影石 H40×W29×D3


砂川安泰 夜空の彼方作品「天空のダンス」 2019
砂岩(沖縄) H30×W17×D12


砂川安泰 夜空の彼方作品「空へ」 2024
琉球石灰岩 H44×W18×D18


砂川安泰 夜空の彼方作品「Drawing Clover」 2017
砂岩(沖縄) H55.5×W17×D11


砂川安泰 夜空の彼方作品「Sister」 2024
大理石 H128×W90×D75



作品はいずれも、静かに、やさしく、あたたかく、心に響くものでした。


・砂川泰彦ウェブサイト
https://www.sunagawa-yasuhiko.com/

・いりや画廊
東京都台東区北上野2-30-2
https://www.galleryiriya.com/