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新年に当たって、「お墓参り」と「初詣」、どちらを優先すべき?
新年に当たって、「お墓参り」と「初詣」のどちらを優先すべきだと思いますか?
江戸時代中期の京都の商人・石田梅岩(いしだばいがん)が著した『都鄙問答(とひもんどう)』(当時の商工業者のための思想書で、対話形式の記述)の「或人神詣ヲ問之段(あるひとかみもうでをとうのだん)」にその解答があります。
或る人が、石田梅岩に次のような質問をしました。
「親の年忌に当たって里帰りをし、まずお墓参りをした。身が汚れたので産神(神社)はお参りしなかった。神を最初に参詣したのでは、親を粗末にするように感じたからだ。これでよかったのか?」
梅岩は次のように答えます。
「親の心に適うようにしなさい。すべての親の心は、子の身の上がよくなるように願っているものだ。親の心は、いつも子を思っているのである。であれば、身が汚れる前に産神をお参りするべきだ。(あなたの)親が生きていれば、そう言うに違いない。まず神社に参詣して、神を敬うことが父母の心に合い、よろしいことだ」
この問答から考えると、冒頭の問題の答えは「初詣を優先」ということになるでしょう。ただ、お墓参りで「身が汚れる」ということはありませんので、「親の心は、いつも子を思っている」、「神を敬うことが父母の心に合い」というところがポイントです。
「お墓参り十ヵ条」をご紹介させていただきます。
1、祥月命日にお墓参り
祥月命日(故人の亡くなった月日と同じ月日)には、お墓参りをしてください。ご先祖様の喜びは、あなたご自身の喜びでもあります。
2、正月、お盆、両彼岸にお墓参り
毎月は無理でもお正月・春彼岸・お盆・秋彼岸の年4回は、お墓参りをしましょう。
3、記念日にお墓参り
ご自身とご両親の誕生日、七五三のお祝い、入学、卒業、成人、結婚、出産、事業の成功など、喜ばしいこと、うれしいことがあったときは、感謝の気持ちを込めてお墓参りをしましょう。
4、近くへ来たらお墓参り
用事か何かで、墓地の近くに来たらお墓参りをしましょう。ついで参りも、ご先祖様はお喜びになります。
5、誘われてお墓参り
お知り合いやご家族からお墓参りを誘われてもご一緒しましょう。はじめはその気がなくとも、お墓参りをすると気持ちがスッキリします。
6、夢を見たらお墓参り
ご先祖様の夢を見ると、とても気になりお墓参りがしたくなります。手を合わせて、心を静めましょう。
7、悩みがあればお墓参り
悩みや面白くないこと、感情がいら立ってどうにも治まらないとき、どうしてよいかわからないときには、お墓参りをしましょう。ご先祖様が力を与えてくれます。
8、望みを失ったときにお墓参り
何かを失敗した、スランプでガックリしたときなど、お墓参りをしてください。ご先祖様の力で、あなたの心に自信が湧き上がってくるでしょう。
9、苦痛があればお墓参り
あなたご自身、あるいはご家族の方が病気になったり、ケガをされたとき、治療、静養はもちろん、神仏への祈願とともにお墓参りをしましょう。
10、無縁様のお墓参り
ご自身の家のご先祖様だけではなく、お世話になったお家のお墓、あるいは無縁様のお墓にも手を合わせてください。無縁様のお墓を参りする意味は、たいへん意義深いものです。
『都鄙問答』は、『武士道』の著者としても有名な新渡戸稲造をはじめ、近江商人や多くの近代経営者に影響を与えたといいます。その思想は、「石門心学」ともいい、「和」「協力」「奉仕」「感謝」の心を、商人道として捉えたものです(由井常彦著『都鄙問答 経営の道と心』日経ビジネス人文庫)。
『都鄙問答』は現在の商売にも大いに参考になるといいます。そこには上記のような問答もあり、つまり商人道とは、「仁」「忠」「孝」などといった倫理的な教え(儒教の精神)も大切ということです。
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