「いい石」をつくる石工たち

本サイトにおける「いい石」とは、日本の石を素材として、日本の石工さんが心を込めてつくった石製品のことです。

石工:北條保(和泉石材、大阪府忠岡町)



手を合わせるものをつくっています

「古い石造物の写真をお客様によく見せるのですけど、たとえば、『新しい神社やお寺と、古い神社やお寺と、どちらに手を合わせたいと思いますか?』といった話をします。お客様は皆さん、古い方を選びます。僕はきれいなものや豪華なものをつくっているのではなくて、手を合わせるものをつくっていますので、それを上手く伝えていきたいですね」


 北條さんは、和泉石材の2代目です。勤めていた会社を辞め、家業でアルバイトをしていた21歳のときに父親が急逝し、石屋を継ぎました。石材産地での修業経験はなく、「親方」と呼べる人はおらず、手仕事はすべて見て覚えました。建築石材に重心を置いていた時期もありましたが、10年以上前からお墓づくりが主な仕事です。お墓は素朴でシンプルなものがよく、地震にも強いそうです。


お客様が幸せになるように

「お墓づくりとは、自分の魂を磨く作業で行のようなものですよ(笑)。ノミを掛けて石を斫っていくじゃないですか。そのときは、自分に何重にもくっついている何かが削がれていくような気がします。そして最後に残った自分の姿でお墓をつくる。叩いているときは不思議と、『お客様が幸せになるように』と思えるんです。

 お墓への意識を高めてもらうために、お客様を庵治産地や万成石の丁場へご案内することもあります。「遠慮するお客様もいますが、ご案内すればお客様は子どものように、とても喜んで帰られます」と北條さん。

 五輪塔などの石塔を手加工するときには、お施主様家族を作業場に招き、セリ矢で原石を割り、ノミ入れ式を行ないます。北條さんが何度かお世話になった陶芸家の先生の指導のもと、ご先祖様に供えるお墓用の湯呑みをお施主様が制作したこともありました。お施主さんからは「家族にとって、特別な日になった」と話があり、とても喜んでいただけたとそうです。


 北條さんは石彫品もつくり、小さい石仏をつくる際には地元産の和泉砂岩も使います。砂岩なので花崗岩よりも軟らかいことから温かみのある表情に彫ることができ、また自然な風合いに仕上がります。



お墓づくりは、親子関係を深めることのお手伝い

「お墓づくりは、親子関係を深めることのお手伝いでもあります。中には親の想いが子供たちに上手く伝わらず、僕が通訳として、お客様のお子さんたち(子育て世代)にその想いを話すこともあります。『子供に迷惑を掛けたくない』という話も多いですが、それは家族の絆が薄れるだけであって、やはり、家族でしっかりと話し合い、お墓をつくってもらうことが、現代日本人にとって必要なことだと感じています。親が子供に最後にすべきことは、行き過ぎた気遣いではなく、『任せること』ではないでしょうか」

 北條さんが今後、どんなお墓をつくっていくのか楽しみです。

    

 

基本情報

北條保(和泉石材、大阪府忠岡町)

大阪府泉北郡忠岡町高月北2丁目15-23

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