現場レポート
東京・入谷のいりや画廊「樋口恭一-石が語ることⅤ-」は10月2日まで!
会場風景
彫刻家・樋口恭一氏の個展「樋口恭一-石が語ることⅤ-」が2024年9月16日(月)から東京・入谷のいりや画廊にて開催されています。総重量8トンを優に超えるという多種の石(花崗岩・安山岩・玄武岩)を使用した大作「遠い日 閈」や、同時開催としてデザイナー・吉田有作氏とのコラボレーション作品などが展示されています。
作品「遠い日 閈」
花崗岩・安山岩・玄武岩・木・セメント・鉄・鉄粉の腐食
樋口氏は1959年東京都生まれ。87年東京造形大学彫刻科を卒業。同大学で石と出会って以来、石を彫り続けています。
「私は、石工になりたかったんだと思う」
そう語る樋口氏の作品は、「(彫刻家のように)厳しく形を追求し必要な部分だけを残すのではなく、不必要な部分だけを切り取って、あってもなくてもいい部分は残しながら造形しています。それはきっと石垣や石段などを組んだ石工の仕事に通じていると思うんです」と。
作品「ここに僕がいた時間の証明」
花崗岩・コンクリート・鉄・鉄粉の腐食
作品「遠い門」
花崗岩・鉄粉の腐食
だから石に意図的に手を加えるのではなく、石工があたかも無作為にノミで欠いたような痕跡や、加工していない石と石とがピタッと合わさったような偶然性も採り入れて表現されています。
「無意識のうちに、誰もが、どこかで見たことがあるような、なにか懐かしい気持ちになれる作品をつくりたい」と樋口氏。
作品「ここに僕がいた時間の証明」
樋口恭一×吉田有作
花崗岩・コンクリート・鉄・鉄粉の腐食・アクリル・樹脂
(同時開催「SP2138×吉田有作」より)
作品「石琴」
樋口恭一×吉田有作
花崗岩・アクリル・樹脂
(同時開催「SP2138×吉田有作」より)
そんな樋口氏の石の原風景は、少年時代、父に連れられて見た長野・小諸の懐古園の古城の石垣にあるらしく、「きっとその石の景色をいまも追い求めているのだと思う」といいます。
石は、それに触れた人々の思いや時間を受け止めてくれる記憶装置なのではないか。樋口氏の作品を鑑賞すると、そんな感慨がわいてきます。
会期は10月2日(水)まで。なんでも作品「遠い日 閈」の大きさゆえに搬出作業に想定以上の時間を要するために、当初4日(金)までの会期が前倒しになったそう(笑)。そんなところからも樋口氏のお人柄、石への思いが伺えますね。
ぜひ会場でご覧ください!
樋口恭一氏
●樋口恭一-石が語ることⅤ-
会期:2024年9月16日(月)~10月2日(水)
*日曜休廊
*搬出の都合により最終日は10月4日(金)から2日に前倒し
時間:11時30分~19時 *土曜・祝日17時30分まで / 最終日16時まで
会場:いりや画廊
住所:東京都台東区入谷2-13-8
https://www.galleryiriya.com/
・同時開催「SP2138×吉田有作」
いりや画廊内の別展示スペースにて
・樋口恭一公式サイト
https://higucchi.com/