現場レポート

東京・中野のnohako「水上嘉久展 影/うつり」は10月13日まで!

2024.09.23

現場レポート

株式会社石文社


水上嘉久展会場風景(1階)



彫刻家・水上嘉久氏の個展「影/うつり」が2024年9月20日(金)から10月13日(日)まで東京都中野区のnohakoにて開催されています。

水上氏は1960年熊本県生まれ。83年多摩美術大学彫刻科卒業、85年多摩美術大学大学院彫刻専攻修了。国内外で多数の個展、グループ展参加など活躍中。nohakoでの個展は2回目で、今回は白大理石による新作7点と、27年前に制作されて以来、水上氏の工房に置かれていた作品2点が展示されています。


水上嘉久展作品〈浮洲「八重」〉白大理石、2024年

水上嘉久展作品〈石-「其の三」 / 「石で石を彫る」試み〉黒御影石、1997年



タイトルの「影」は、水上氏がこれまでも追求してきた制作のテーマ。特に白大理石について、水上氏は「光を受けると美しい影を生み出す。日本において白は伝統的に〈無〉の象徴として捉えられていますが、それは〈何も無い〉ではなく、外側の世界のすべてを映し出し、かつ吸収し内包するという、単なる彫刻素材を超越した物質であると、私には思えます」と語ります。


水上嘉久展左:作品〈浮磐〉白大理石、2024年
右:作品〈雨磐「朧」〉白大理石、2024年




また27年前に制作した作品2点については、「いずれはどこかの河原に還してみようかと、工房で雨ざらしにしていたもの。図らずも27年という歳月が、当時の私の意図や思念を風化させ、ただの石に還してくれました」といいます。


水上嘉久展会場風景(2階)

水上嘉久展作品〈浮橋図〉白大理石、2024年

水上嘉久展作品〈石-「其の五」 / 「石で石を彫る」試み〉小松石、1997年

水上嘉久展作品〈浮橋図・抄〉白大理石、2024年


制作はノミによる手彫りが基本で、石と対話しながら彫り進め、形を生み出す水上氏。「古代彫刻の崩壊像は制作時の理念から解かれ、時空を超えた美しさをたたえています。いわば彫刻そのものが彫り刻むという崩壊過程であり、私はそこに顕れる美を追い求めているのだと思います」と話してくれました。


水上嘉久展左:会場風景(2階から)
右:作品〈磐舟「幻」〉白大理石、2024年




なお水上氏は現在、多摩美術大学彫刻学科教授として後進の指導にも当たられていて、石文社「月刊石材」2024年2月号掲載の「石彫の未来へ~美大・芸大の現場から 多摩美術大学編」にもご協力いただきました。あわせてご覧ください。



水上嘉久展水上嘉久氏


●水上嘉久展 影/うつり
会期:2024年9月20日(金)~10月13日(日)
時間:金・土・日曜日の13時~19時
会場:nohako
住所:東京都中野区江原町2-7-16
https://nohako.com/