現場レポート

伊豆軟石の丁場跡を見学。静岡県東部石材加工組合

2023.01.31

現場レポート

株式会社石文社

 
 静岡県東部石材加工組合(藤島章弘組合長)は1月26日、第57回定時総会前に伊豆軟石の丁場跡を見学しました。静岡県伊豆の国市の「頼朝の湯 本陣」の敷地内にある丁場跡で、今回は特別企画として見学できました。この丁場で採れた石は、江戸城築城石として献上されたといわれているそうです。


 伊豆軟石について、西山弘泰「大谷地区そして大谷石文化の発展を考える~伊豆石に関する視察を通して~」(2021年)には、次のように書かれています。


 伊豆軟石は、伊豆半島が海底だった時代に、海底火山からの噴出物が海底に堆積し、固結、生成された。分布域は白浜層群や湯ヶ島層群が露出する南部一帯および北部中央にみられる。凝灰岩系の石材は、一般的に①加工が容易なこと、②耐熱性に優れていること、③比較的軽いことが特徴としてあげられる。一方で、比較的脆く、風化しやすい点が欠点である。2020 年2 月に行った伊豆半島における視察においても、黄色系、青色系、灰色系、いくつかの色が混ざったものなど、地域によって見た目や質感が一様ではなく、どのような性質や見た目のものを伊豆軟石と呼ぶのかは特に定まっていない。そのため異なった地域で産出された伊豆軟石を区別する場合は、「徳倉石」や「曽我石」「多比石」「沢田石」など、産出される地域名を冠した名前で呼ばれることもある。


 伊豆軟石の古い使用例は、8世紀代の横穴墓への使用や中世前期にさかのぼる宝篋印塔例などもあるので、伊豆の凝灰岩使用例は中世以前にさかのぼります。しかし、大規模な石材生産は江戸中期、特に18世紀後半以降に大規模化することまでは文献等から判明しています(金子浩之「江戸へ運ばれた石材と近世史上の位置」江戸遺跡研究編『江戸築城と伊豆石』吉川弘文館、2015年)。


 伊豆石の石文化については、伊豆石文化研究会がさまざまな情報を発信しています。ぜひ、下記のホームページもご覧ください。

◎伊豆石文化研究会
https://sites.google.com/view/izustoneculture/