現場レポート

企画展「石巻の板碑―調査の記録をたどる」は、3月26日(日)まで! 

2023.03.18

現場レポート

株式会社石文社

 石巻の板碑展示室のようす

 全国屈指の板碑密集地帯である石巻の板碑について、その特徴や現状、調査結果などを紹介する企画展「石巻の板碑―調査の記録をたどる」が3月26日(日)まで、宮城県石巻市の石巻市博物館企画展示室で開催されています。

 板碑とは、鎌倉時代から戦国時代にかけて立てられた石製の供養塔で、全国で約7万基確認されており、宮城県には7,000基以上が存在します。そのうち石巻には、2,000基を超す板碑があり、県内最古の文応元(1260)年の銘を持つ板碑もあるそうです。

 石巻の板碑は数が多いだけではなく、バリエーションも多いのが特徴です。「ア」「ビ」「ラ」「ウーン」「ケン」を左右対称に配して五輪塔形にした「双円性海塔」を刻んだ板碑もあります。この「双円性海塔」は全国に10例しかなく、仙台に2例、石巻に6例と、なぜか石巻に半数以上あるそうです。

「双円性海塔」を刻んだ板碑の拓本

 板碑を立てた目的は、大きく追善供養と逆修供養(生前に死後の冥福を祈って供養を行なう)の二通りがあり、板碑に刻まれた銘文からわかるそうです。

 石巻の板碑には主に井内石と雄勝石(玄昌石)が使われていますが、近年の研究で登米石が使用されていることもわかってきました。種子に金箔が貼られていた板碑もあり、「種子(梵字)を仏様として金箔で荘厳にしたのではないか」と考えられています。

井内石、雄勝石、登米石の板碑を分けて展示

種子に金箔が貼られていた板碑


 企画展では、未公刊の報告書(千照寺裏出土板碑調査報告)も見ることができます。また、「ひかり拓本(石に刻まれた文字や文様に光を当ててその影から拓本をとる技術)」の体験コーナーもあります。

碑面には種子や銘文の配置を決めていた痕跡も残っていた(報告書より)

「ひかり拓本」体験コーナー


 板碑は日本の歴史を知ることができるとても大切な石造文化財です。ぜひ、この機会に板碑の価値を実感してください。

 なお、『月刊石材』2023年4月号(4月15日発行)で、「石巻の板碑」についての記事を掲載予定です。お楽しみに!



展示室のようす


◎企画展「石巻の板碑―調査の記録をたどる」
日時:2023年1月28日(土)~3月26日(日)
開館時間:9:00~17:00 ※最終入館16:30
休館:毎週月曜(祝日の場合は翌日)
観覧料:一般500円、高校生400円、小中学生300円
会場:石巻市博物館企画展示室
所在地:宮城県石巻市開成1-8(マルホンまきあーとテラス内)
TEL:0225-98-4831
https://makiart.jp/museum/