現場レポート

本小松石や伊達冠石のシンプルで美しい92面体! 岩壁善兵衛石彫展(東京・いりや画廊)

2023.04.14

現場レポート

株式会社石文社


岩壁善兵衛石彫展岩壁善兵衛石彫展の会場


彫刻家・岩壁善兵衛氏の個展「岩壁善兵衛石彫展 石と水のものがたり・俤人」が2023年4月3日から8日まで、東京・入谷のいりや画廊で開催されました。本小松石(神奈川県真鶴)をメインに、伊達冠石(宮城県丸森)や山崎石(山梨県)、笏谷石(福井県)などを使用した作品が展示。シンプルで美しい「92面体」の石が印象的でした。

岩壁善兵衛氏は30代で彫刻家の故・高嶋文彦氏主催の石彫シンポジウムで石と出会い、その後、60代で飛騨高山の木工職人がつくった千鳥格子(江戸時代)に魅せられ、「石で彫ってみたい」と、石の彫刻を始められたそうです。


岩壁善兵衛石彫展作品「壹(92)=557+23」(本小松石)
奥は作品「千鳥格子」(インド産御影石)

岩壁善兵衛石彫展92面体に水をかけることで壁に光が反射する



制作の拠点は、かつて「七沢石」を産した神奈川県厚木市七沢にあり、高嶋氏がアトリエとしていた工房「七沢彫刻工房」で、現在は「92面体」をメインテーマとして創作されています。工房のメンバー(彫刻家)の仕事などを見て、石を彫る技術を覚え、ノミなどの道具類も自分にあわせて調整されるとか。石は地元・神奈川県産で、「とても相性がいい」という本小松石を好んで使用し、仕上げはノミなどによる手仕事を重視されています。

「平らなものをつくるなら、どれだけ平らに仕上げられるか。100分の1ミリ以上の精度を追求しています」と岩壁氏。「自分自身に対する挑戦でもありますが、石を彫っていると緊張感があり、また夢中になれるのが楽しいですね」ともいいます。

本展では「92面体」の石の作品の見せ方にも工夫し、もうひとつのテーマでもある「水」を使って展示。実際に水をかけることでほの暗い画廊の壁に、独創的な光の輪が反射してゆらぎます。


岩壁善兵衛石彫展作品「千鳥格子」(インド産御影石)
狛犬はQたろうさんの作品(羊毛フェルト)

岩壁善兵衛石彫展作品「壹(92)=101+5」(本小松石、伊達冠石)

岩壁善兵衛石彫展左:手前 作品「壹(18)=11+89」(山崎石)
右:右 作品「壹(18)=11+97」(本小松石)
右:左 作品「壹(18)=5+11」(笏谷石)

岩壁善兵衛石彫展作品「壹(92)=151+101」(本小松石、伊達冠石)

岩壁善兵衛石彫展会場風景

岩壁善兵衛石彫展岩壁善兵衛氏


いりや画廊での個展は2021年に続いて2回目。2011年からは一陽展にも出展するなど、ますます精力的に作品をつくられています。今後の創作活動も楽しみですね!


◎七沢彫刻工房
http://www5d.biglobe.ne.jp/~navel/nanasawa/

◎いりや画廊
https://www.galleryiriya.com/