現場レポート
地球との無意識の交信が生む彫刻―現代美術 絹谷幸太展は5月27日まで!(東京・いりや画廊)
会場風景
彫刻家・絹谷幸太氏の個展「現代美術 絹谷幸太展」が2023年5月8日(月)から27日(土)まで、東京・入谷のいりや画廊で開催されています。花崗岩、大理石、砂岩、木(楠)、ミクストメディアなどの作品が全30点展示されています。
絹谷幸太氏は1973年、東京生まれ。日本大学芸術学部、東京藝術大学大学院美術研究科、サンパウロ大学大学院で学び、国内外で個展・グループ展多数、パブリックコレクションも多数の彫刻家です。作品に使用する石について地質学者に学んだり、産地・採石業者に話を聞くなど、その石の歴史、特性、地域での役割などまでも把握して、「どうしたら石が生きるか」を、石の声を聴きながら制作されています。
作品「表裏一体」(表面)
楠、花崗岩、砂岩、大理石、コーツァイト、鉄
2022年
作品「表裏一体」(裏面)
世界各地域の様々な岩石をはめ込む
「この作品を創らなければならない、と私の心を動かしたのは、隣国ロシアによるウクライナ軍事侵攻です。表側に穿たれた無数の四角い穴は、人類による爆撃(侵略行為の痕迹)を表しています。一方で裏側には、世界各地域の様々な岩石をはめ込み、平和のハーモニーの形を模索し、礫岩を中央に配して共存共栄の提案を試みました」
これは作品「表裏一体」(上写真)についての話です。楠、花崗岩、砂岩、大理石、コーツァイト、鉄によるこの作品は、まさに今展の象徴的な存在であり、絹谷氏の彫刻家としての姿勢、メッセージの象徴とも言えます。
作品「石の声」シリーズ
大理石、2023年(全21点)
左:作品「魂の交差」花崗岩、2023年
右:作品「青い星の願い」花崗岩、2023年
作品「地球の聲」シリーズ
花崗岩、2023年(全4点)
左:作品「大地の呼吸1」/ 右:作品「大地の呼吸2」
ミクストメディア、2012年
「私は、制作を通して地球素材と真摯に向き合えた時、自然が微かに話しかけてくれたように感じ、それらにもっと触れたい・聴きたいと願うようになりました。自身を作り上げてきた地球との〈無意識の交信〉、アートの本質・原点もそこにあるのだと思います。世界を、日本を元気にする最高のコンテンツとして、そうしたアートの必要性を感じずにいられないこの頃です」
すでに次の作品制作のために精力的に動き始めている絹谷氏。石の使用も楽しみなところです。
会期は5月27日(土)まで。ぜひ会場で、絹谷氏が彫刻に生かす、様々な石の表情に触れてみてください。
●現代美術 絹谷幸太展
会期:2023年5月8日(月)~27日(土)
時間:11時30分~19時30分
*土曜・祝日は17時30分まで
*最終日は16時30分まで
*日曜休廊
会場:いりや画廊
住所:東京都台東区北上野2-30-2
https://www.galleryiriya.com/
・絹谷幸太公式ウェブサイト
https://kotakinutani.com/
・絹谷幸太氏インタビュー記事(サイト内)
https://stone-c.net/report/4406