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霊場・雄島を訪う(宮城県松島町)

2021.01.26

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松島(宮城県)が霊場だったことは、もしかしたら、あまり知られていないかもしれません。駅からも歩いて行きやすい「雄島」へ行ってきました。

「青」は葬地を示す言葉のようです。「青島」はもちろん、「青」が転訛(本来の発音がなまって変わること)したと考えられる粟島、奥武(おう)島、大島、そしてこの雄島も。青山、大山、青谷、大谷、青海、近江、青梅なども同様です(谷川健一1997『日本の地名』岩波新書、筒井功2015『「青」の民俗学―地名と葬制』河出書房新社)。

 

切通しを抜けると、岩肌にいくつもの窟が穿たれ、塔婆や五輪塔が刻まれています。赤い橋を渡れば雄島。風化によって石と再び一体になりそうな仏さまなど、時の経過と石の織り成す風景がここにはありました。

島には板碑も残されていますが、人為的に破壊され、海中に投棄された板碑も多数あるようです。雄島では根元から折られた板碑を確認することもできます。中世において人々の絶大な信仰を集めた板碑。それがなぜ海に捨てられるような運命を辿ったのでしょうか? いつ? 誰が? 何のために? 人々の信仰の変化を思いながら、興味深い一人雄島ツアーとなりました。

※ 雄島の板碑は、瑞巌寺の土留として転用されるなど、別な用途へリサイクルされた事例も。板碑の終焉と共に一石五輪塔が現れることから、人々の信仰の変化も垣間見えます(佐藤弘夫2008『死者のゆくえ』岩田書院)。

 

仏さまには貝殻が供えられていました。人の死と貝とのかかわりは、人と石とのかかわりと同様に、縄文時代以来変わらず現代にまで続いています。

 

◆アクセス(松島観光協会のHPより)
 〒981-0213 宮城県宮城郡松島町松島浪打浜24
JR仙石線松島海岸駅徒歩6分。浪打浜駐車場そば。