一般研究員によるトピックス!!
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鎮魂祭は今年60周年。なぜ青森に『キリストのお墓』?
2023年春、青森県新郷村にある「キリストの里公園」を訪ねました。
ここで開かれる『キリスト祭』は今年は6/2に開催だそうです。(ポスターの「考えるな、踊れ。」というコピーが強烈)
4月の青森は新緑の季節はまだ先。
観光シーズンも外れていたせいか伝承館は休館日、訪ねる人もなく、その分、私は一人、キリストとキリストの弟を祀ったお墓とされる(設定されたとも言える)現地の怪しい雰囲気にどっぷりと浸ってきました。
なぜ、青森の山中に、はるか遠く中東イスラエルの地で亡くなったはずのキリストのお墓があるのか?
その由来についてはネットを検索して頂くこととして、ここでは触れずに現地を訪ねて感じたことを書いてまいります。
その場所は、八戸市から十和田湖へと続く県道45号線沿いにあり、立派な入口案内もあります。
十和田湖へと続く道沿いに点在する観光スポットの一つとしてPRされています。新郷村は『大石神ピラミッド』『三嶽神社』『伝説の鷲の湯』など神話や伝説に関する場所が残る神秘的な場所のようです。
駐車場から山の上にあるお墓へ上がっていきます。途中、豊富な水量が流れる川の音が静かな山の中によく響いていました。
山道を登りきると階段があり、その上に二つの墳墓と十字架が現れます。
右が迫害を逃れ、はるか極東の島国にたどり着き、生涯を終えたキリストと、左が彼の身代わりになって磔刑に処されたとされる弟、イスキリの遺髪を納めたお墓とか。
立派な案内板を前に何とも言えません。
キリストのお墓とされている塚
こちらは身代わりになって磔刑に処された弟、イスキリの遺髪を納めたとされる塚
キリスト、イスキリのお墓が並ぶ。
エルサレム市から寄贈された友好の証の石板。
墓前に捧げられたジュースやお酒。お賽銭も見受けられました。
聖書に出てくる捧げものと言えばぶどう酒でしょう、と考えて持参しました。
近くに建てられている『キリストの里伝承館』。この日は休館日でしたが、ここをキリストのお墓とした経緯を記録した、なかなかのボリュームの資料が見られるそうです。
伝承館そばにあるピラミッドオブジェ。
ピラミッドオブジェ内には絵馬がぶら下がっています。
立派な歌碑も立てられています。
キリスト、イスキリの墳墓が見下ろす位置に地元の方の一族のお墓があります。
丘から望む周辺の集落。
ここ一帯は元々地域の墓地の一角であり、特にこの二つの墳墓が大きかったので、この地に深いゆかりがある方のお墓として地元の方は認識されているそうです。
この墓にキリストが埋葬されていると信じる村人はいないというネット記事も目にしましたが、毎年6月『キリスト祭』が開催されこの塚の周りを囲み、村に伝わる盆踊り「ナニャドヤラ」が奉納されるそう。今年で60周年ということですから、行政、地元の方の想いが集まった場所であることは確かです。
『キリスト祭』は今年は6/2に開催だそうです。(ポスターの「考えるな、踊れ。」というコピーが強烈)
ひょんなことから脚光を浴び、今や新郷村の観光スポットになっているお墓ですが、根底にはその地に生きた先祖を敬い、どんな神も等しく大切に考える日本人独特の宗教観を感じることが出来る場所でした。