「いい石」をつくる石工たち

本サイトにおける「いい石」とは、日本の石を素材として、日本の石工さんが心を込めてつくった石製品のことです。

山中英明(山中石材工業、東京都八王子市)

山中英明

 

五百年後、千年後まで残される石塔づくりを

「手仕事で石塔をつくっていると、無心になれるのが楽しいですね。主に鎌倉期など中世の石塔を手本にしながら、自分なりの創作を加えていきます。五百年後、千年後にも手を合わせられるものをつくりたい。当然、自分の死後にも責任が残ります。それだけの覚悟を持って石に向き合っています」


山中英明宝塔「松風」(本小松石)を制作する山中さん


山中石材工業の四代目・山中英明さん(1977年生まれ)は変化の激しい東京で、ノミを多用する手仕事での石塔づくりに励む石工です。高校卒業後18歳で家業に入り、「仕事は見て覚えろ」という職人気質の先代(父・耕司氏)のもとで石のイロハを修得していきますが、実は「30歳まで手仕事とはほぼ無縁だった」そう。

しかし、同世代の石工たちの活躍に刺激を受けて、手仕事の修練にのめり込んでいきます。


第29回技能グランプリで第1位に!

山中さんが刺激を受けたのは、全国の石工が手仕事の技能を競い合う〈技能グランプリ〉でした。2007年頃から技能の修得・向上に努め、まずはその5年後に一級技能士資格を取得。さらに5年後の2017年開催の第29回技能グランプリ・石工職種に出場し、見事、第1位(厚生労働大臣賞)及び内閣総理大臣賞を獲得します。

「技能グランプリは腕試し。岡崎に修業に行っていないので、自分の腕がどのくらい通用するのかを知りたかった」

それと並行して、山中さんは手仕事による石塔づくりにも取り組むようになります。無心になって、自分の身体と感性とで石に向き合う時間に没入していきます。


山中英明五輪塔


石・石塔本来の美しい表情を重視

石塔づくりには、技能だけではなく、感性や審美眼を磨くための“学び”が不可欠です。山中さんも各地に残る中世石塔の銘品を見て学び、そのノミ痕が醸す石肌の美しさに魅了され、造形美に惹き込まれていきます。


山中英明左から宝塔、宝篋印塔、五輪塔
宝塔と五輪塔は真壁小目、宝篋印塔は万成石



「最初はそれらを手本にレプリカを制作していましたが、だんだんと自分の好みも出てきて、アレンジを加えるように。加工の精度を求めるよりも、造形美を踏まえたうえで、石・石塔本来の美しさ、味わいある表情を重視しています。たぶんそれも五百年後、千年後にさらに生きてくるはず」


山中英明手の平サイズの作品も


手仕事の技を生かし、活躍の場が拡大

普段は寺院墓地等で、お施主様の要望に合わせた墓石を建立している山中さんですが、次第に口コミや紹介が増え、年に2基、3基と手仕事による石塔を制作・建立しています。お墓づくりに思い入れのあるお施主様には必ず、五輪塔や宝塔、宝篋印塔などの現物や写真等を見せ、「自然と手を合わせたくなる石塔ではありませんか?」と話されているそうです。


山中英明御嶽黒光真石(長野県)の洗面台を制作

山中英明五輪塔台座(繰形座)を制作(真壁小目)


そして近年は、石の美しさを生かす創作姿勢、手仕事が生み出すあたたかさから、石塔以外の仕事も依頼されるように。たとえば、東京・南青山の〈松葉屋茶寮〉では店内を飾る石の制作を多数手がけ、また世界的な盆栽職人とのコラボや石の器づくりなどにも挑戦しています。

さらには、2025年3月から放映のNHK連続テレビ小説『あんぱん』では、石工指導として参加し、ドラマ制作を下支え。その活躍の場は着々と拡がりつつあります。


山中英明山中さん愛用の道具類(一部)

 

基本情報

山中英明(山中石材工業、東京都八王子市)

東京都八王子市弐分方町781-3

山中英明(山中石材工業、東京都八王子市)のいい石一覧

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