現場レポート

東京・入谷のいりや画廊「鈴木典生 存在の連鎖」

2026.10.28

現場レポート

株式会社石文社


鈴木典生展会場風景



彫刻家・鈴木典生氏の個展「鈴木典生 存在の連鎖」が2026年10月12日から24日まで東京・入谷のいりや画廊で開催されました。黒みかげ石を主素材に、大理石や白みかげ石、真鍮、鉄、砂などで表現した作品8点が発表されました。

鈴木氏は1965年茨城県生まれ。89年玉川大学芸術学科美術専攻卒業、91年金沢美術工芸大学大学院修了。多数の個展、グループ展、シンポジウムで活躍。女子美術大学や筑波大学などで後進の指導にも当たられています。現在は、日本を代表する石材産地のひとつ、茨城・真壁で同じく彫刻家の岡本敦生氏、菅原二郎氏、村井進吾氏との共同アトリエ〈第三工場〉で制作されています。


鈴木典生展作品「Spiranthes」
黒御影石・砂、H200×W150×D150cm




本展では、長い時間のなかで形成された石という存在に対し、「器具」を介入させることで、存在同士の連鎖に生じる変化を造形表現として捉えようとする鈴木氏の試みが見られました。


鈴木典生展
鈴木典生展作品「谷脈」
黒御影石、H28×W140×D110cm


鈴木典生展

鈴木氏はこう語っています。

「石は自然のなかで生まれ、人の手によって運ばれ、加工され、別の形へと変化していく。
その過程には、石そのものだけではなく、人間の意思や身体、道具、環境など、さまざまな存在が関わっている。
私はその連鎖のなかに〈器具〉というものを置く。
器具は単なる制作のための道具ではなく、ある存在から別の存在へと作用を伝える媒介である。
器具によって石に加えられた力や傷、痕跡は、石の状態を変化させると同時に、行為を行なう人間の身体や認識にも影響を返していく。
石を削るという行為を通して、何かを一方的に変えるのではなく、存在と存在が互いに作用しながら連鎖していく関係そのものを形にしたい。
器具は、その連鎖に介入するための装置であり、同時に介入によって生まれる新なた関係を可視化する存在でもある。
石に残る痕跡と器具の形、その間に生じる力の関係から、私たちが無意識のうちに関わっている『存在の連鎖』を問い直す」


鈴木典生展
鈴木典生展作品「花束」
大理石、白御影石、鉄、染料、H150×W40×D40cm


鈴木典生展作品「石の花-花の向く先-」
黒御影石、H40×W15×D15cm




彫刻作品としてそれぞれの石に現わされた、緻密さ、丁寧さ、滑らかさ、そして荒々しさ。そのすべての痕跡に、石にひたむきに向き合う鈴木氏の思い、存在そのものが感じられる作品が揃いました。


鈴木典生展3点:作品「花」シリーズ
黒御影石、鉄、H120×W9×D20cm


鈴木典生展作品「花Ⅰ」
同上


鈴木典生展作品「大輪」
黒御影石、真鍮、H105×W50×D50cm




なお、鈴木典生氏は石文社「月刊石材」2023年6月号掲載「石彫の未来へ~美大・芸大の現場から:女子美術大学編」に、同大学・非常勤講師としてご協力くださいました。


●鈴木典生 存在の連鎖 *終了
会期:2026年10月12日(月・祝)~24日(土)
会場:いりや画廊
住所:東京都台東区入谷2-13-8
https://www.galleryiriya.com/