現場レポート

「KINUTANI~芸術家の系譜~」 東京・伊勢丹新宿店 本館6階 アートギャラリーへ!(11月23日まで)

2021.11.16

現場レポート

株式会社石文社


kinutani芸術家の系譜会場風景

 

「KINUTANI~芸術家の系譜~」が2021年11月10日(水)から23日(火・祝)まで、東京・新宿の伊勢丹新宿店  本館6階  アートギャラリーで開催されています。絵画、モザイク、そして彫刻と、芸術一家・絹谷家(幸二氏・幸太氏・香菜子氏・悠氏の4名)の多彩な表現が一堂に会しています。

絹谷幸二氏は日本を代表する洋画家で、令和3年度文化勲章を受章したばかり。そのご子息が絹谷幸太氏で、つい先日も追手門学院大学に本御影石(兵庫県産)によるモニュメントを制作・設置するなど、石の彫刻家として国内外で活躍されています。またご息女・絹谷香菜子氏は画家として活躍。さらに幸太氏の妻・悠氏は洋画家で、天然石のモザイク作品で知られます。幸太氏は「月刊石材」2021年3月号のインタビューで、「石の核心に向き合うとき、私の心が彫刻される」と語り、地質学・鉱物学の見地からも国内外の石に向かい、石との対話を繰り返しながら、その石を生かす表現、造形を模索されています(インタビュー記事はこちら)。

今回、絹谷幸太氏による石の彫刻作品は15点。いずれも新作で、「コロナ禍で自問自答するなかで、改めて、地球の危機、人類の危機を認識させられた。この全世界的な感染症の蔓延を、まさに人類に対する警鐘と受け止め、その地球・自然界からの警告の声を、石の力を借りて伝えたかった」と幸太氏。深い翠(みどり)色の結晶が浮かぶ中国産大理石の作品「翠の地球」は、斜めに傾いて伸びるアンバランスさのなかに、危機感や危うさというメッセージが込められています。


kinutani芸術家の系譜作品「翠の地球」
中国産大理石

kinutani芸術家の系譜作品「希望のトーチ」
ノルウェー産大理石、南アフリカ産片麻岩
左は絹谷香菜子氏の絵画作品



またノルウェー産大理石と片麻岩(南アフリカ産)による作品「希望のトーチ」は、ご自身もその学術調査に参加したノルウェーのアルタの岩絵(先史時代の遺跡、世界遺産)に敬意を払って制作されたもので、人類が自然とともに踏み出す新たな一歩を象徴する作品ともいえます。石の組成上の特性も踏まえながら、石の表情を生かす使い方もされています。

他にも、父である絹谷幸二氏の文化勲章受章を記念する作品「天の祝福」(イラン産トラバーチン、金箔、他)や、幸太氏にとって「彫刻家として初めて制作した家具(テーブル)」という作品「フィヨルドの灯り」(ノルウェー産大理石)などを発表しました。作品「天の祝福」や壁掛けタイプの小品に描かれた文様(箔押し)は「人」の字をモチーフにしたもの。「さかさまにすると芽吹きのイメージにもなる」と幸太氏。コロナ禍において、希望とエネルギーに満ちた作品が多数発表されました。


kinutani芸術家の系譜作品「フィヨルドの灯り」
ノルウェー産大理石
背後は絹谷幸二氏の絵画作品

kinutani芸術家の系譜作品「天の祝福」
イラン産大理石、ステンレス、金箔

kinutani芸術家の系譜会場風景

kinutani芸術家の系譜作品「旅人の石」
パキスタン産大理石

kinutani芸術家の系譜絹谷幸太氏の彫刻と悠氏のモザイク作品

kinutani芸術家の系譜彫刻、絵画、モザイクとも、同じ石を使用しながら、それぞれが異なる表現技法により、まったく違う魅力、価値を生み出す


今回はご家族での展覧会ですが、実はそこにもメッセージがあります。

「私が石を彫刻して作品をつくり、作品にならない部分の石を使って、顔料として絵を描き(幸二氏と香菜子氏)、またモザイク作品(悠氏)にも生まれ変わる。石という素材へ感謝し、作家として持続可能な世界への貢献にも思いをこめた展覧会です」(幸太氏)

さまざまな背景やメッセージを秘めた「KINUTANI~芸術家の系譜~」。ぜひ、会場でご覧ください。

ちなみに、ギャラリーのスタッフさんは小さなお子さまにも親切に、楽しく、作品を説明してあげていました。ほほえましくて、明るい気分になれますね。お気軽にご来場ください!


●KINUTANI~芸術家の系譜~
会期:2021年11月10日(水)~11月23日(火・祝)
時間:10時~20時 *最終日は18時終了
会場:伊勢丹新宿店 本館6階 アートギャラリー

*伊勢丹新宿店の営業日、営業時間、イベント等が変更・中止になる場合がございます。事前に伊勢丹新宿店ホームページをご確認のうえご来店ください。
伊勢丹新宿店ホームページ
https://www.mistore.jp/store/shinjuku.html