石の用語集

石に関係する用語を解説します。

あ行

  • 合口(あいくち)

    石と石の継ぎ合わせ部分。「合端」ともいう。→合端

  • 合端(あいば)

    合口が付く石の端の部分。

  • 青石(あおいし)

    青色系の石の総称。関東地区では伊豆方面産の凝灰岩をいう。静岡県河津町産「河津青石」同・長岡町産「戸沢石」など。

  • 赤ボサ(あかぼさ)

    安山岩で気泡の多い赤味の石。吸水性が高く苔付きがよい。神奈川・新小松層中の赤ボサが著名だが、量はわずか。

  • 赤みかげ(あかみかげ)

    赤色系のみかげ石。国内では岡山産の万成石などがそれにあたる。現在は輸入材が赤みかげの主流。

  • 上がり框(あがりかまち)  

    玄関床から廊下、ホールの上がり口など、床から一段上がる場所に横に置く石。

  • 網代貼り(あじろばり)

    長方形の石を斜め45度に貼る形。平方直角に貼る場合もある。

  • 荒石積み(あらいしづみ)

    荒石(石山から切り出し、小割りにしたままの石)で積んだ壁面または擁壁。割石積みともいう。

  • 洗い出し(あらいだし)

    小砂利をモルタルに混ぜて塗り、表面を洗い流して砂利の表面を露出させる仕上げ。

  • 荒ビシャン(あらびしゃん)

    通常五枚ビシャン(5×5=25の目のビシャン)のこと。

  • 荒磨き(あらみがき)

    磨き仕上げの最初の工程。手加工の場合、百枚ビシャンの後、一番砥をかけた程度。さらに水磨き、本磨きをかけ、表面を滑らかにする。

  • 荒目(あらめ)

    結晶粒度の荒い石。手加工の細工がしやすいため、三州岡崎みかげ、真壁みかげ、小豆島属島・豊島など荒目石の産地では彫刻技術が発達した。

  • 安山岩(あんざんがん)

    火成岩(火山岩)のうち、噴出したマグマ(岩漿)が地表や地表近くで徐々に冷え固まったもの。斜長石、黒雲母、輝石を主成分とし、わが国のいたる所で産出する。小松石、根府川石、鉄平石、丹波石、白河石などが有名。深成岩に比べて耐火性が強く、板状や柱状の節理が発達していることが多く、採石しやすい。

  • 安山岩質凝灰岩(あんざんがんしつぎょうかいがん)

    成分上安山岩に相当する凝灰岩。浮石のほかに多量の中性長石、輝石などの破片を含有する。

  • 石生目(いしきめ)

    石の節理、石の肌理。

  • 石切り(いしきり)

    石山から石材を切り出すこと。また石材に加工すること。さらにそれを業とする人。

  • 石切り場(いしきりば)

    石材を採る現場。採石場。露天掘り、坑内掘り、転石採りなどがある。

  • 石工(いしく)

    石大工。石匠。大別して石彫工、石積工、石採工の3種があるが、現在は主に石彫工をいう。

  • 石地蔵(いしじぞう)

    石造りの地蔵菩薩像。釈迦から人間救済の委嘱を受けているとされ、右手に錫杖、左手に宝珠を持つ立像が多い。子安地蔵、子育地蔵、トゲ抜き地蔵など。

  • 石畳(いしだたみ)

    板石を敷きつめた道路や通路。方形貼り、乱貼りなどで施工する。

  • 石積み(いしづみ)

    石を積み重ねて石垣、石壁を築くこと。

  • 石灯籠(いしどうろう)

    石造りの灯籠。本来、神社仏閣の献灯を目的としていたが、桃山時代に茶人が庭園に導入した。形は多種だが、大別すると奈良系、京都系、その変形の3種がある。

  • 石庭(いしにわ)

    石を主体にした庭。組み石、景石などをあしらい、砂利、砂、苔などを添える場合もある。

  • 石貼り(いしばり)

    石を躯体、下地に貼りつける作業。「石張り」とも書く。

  • 石目(いしめ)

    岩石の節理。つまり岩石の内層に入っている自然な裂け目のこと。すべての石は石目をもっており、この方向で割れやすい。採石の際、石目の流れを知ることが非常に重要とされる。

  • 石割り(いしわり)

    石を割る作業。矢穴を穿ち、豆矢、きき矢、とび矢などを差し込み、玄能で打ち、石を2つに割る。

  • 出雲灯篭(いずもどうろう)

    島根県松江市付近から産出する褐色の砂岩(出雲砂岩、来待石)で造る灯籠。緻密で細かい細工ができる。

  • 板石(いたいし)

    板状に割った石。挽き材、へげ石の類は通常、板石とはいわない。

  • 板碑(いたび)

    日本の塔婆の一種で、板状の石を使ってつくられた塔婆のこと。

  • 一石五輪塔(いっせきごりんとう)

     一石造りの五輪塔。一般庶民や無縁仏の供養につくられたが、庭園にも用いられている。高さ30~40㎝位の大きさが多い。

  • 一ぱい彫り(いっぱいぼり)

    文字の幅と深さを同じ寸法に彫ること。

  • 稲妻目地(いなづまめじ)

    乱積みの石垣で、縦目地が稲妻型に連続したもの。不良な積み方の1つ。

  • 芋目地(いもめじ)

    縦目地の上下が連続した目地。四つ目ともいう。

  • 石組(いわぐみ)

    日本庭園で石を組み合わせること。古くは「石をたたむ」、「立石」などといった。この位置、役目により三尊石組、護岸石組などと呼ばれる。 「岩組」とも書く。

  • 浮き彫り(うきぼり)

    文字、彫像、文様の周囲を彫り下げて浮き出たせる技法。

  • 請け花(うけばな)

    石灯籠、仏塔、仏像台座などに極楽浄土の蓮華花弁を上向きに描いた彫刻。←→反り花

  • 馬目地(うまめじ)

    二段以上に並ぶ目地の一方向が交互になる目地。積み石の場合は「馬積み」、「馬乗り目地」ともいう。

  • 裏落とし(うらおとし)

    のみを用いず、コヤスケで余分な部分を大きく落とし取ること。

  • 裏込め(うらごめ)

    石積み、石貼りの裏側にモルタルを流し込むこと。規定された調合比率のモルタルを徐々に流し込むことを「つぎとろ」という。圧力で石を押し出さないようにするため、通常は下部の根どろを流し、ある程度硬化した後、上どろを流して充填する工法を「全とろ工法」という。鱗貼り(うろこばり)  舗石貼りの技法の1つ。魚の鱗のように貼ること。「浪形」ともいう。

  • 雲母(うんも)

    花崗岩、片岩、片麻岩などの主成分鉱物。多くは六角板状結晶で、薄く何枚にもはげる。黒雲母は俗に「キララ」と呼ばれ、花崗岩中にゴマ状に存在する。白雲母は、これを含有する岩石も少なく見分けるのも難しいが、岩石が風化した後は小さな鱗片となって残る。

  • 雲母片岩(うんもへんがん)

    雲母、石英、長石などを主成分とする片理の著しい暗色の結晶片岩。雲母片が平行に並び葉片状構造を成し、石英は粒状または扁桃状をしている。ざくろ石や十字石を含有する様々な変種がある。

  • 江戸切り(えどぎり)

    面切り出しの意匠の1つ。「淀切り」ともいう。水平角の上か下の一方を切り欠く。縦の一方や上下ともに淀を取る場合もある。

  • 縁石(えんせき)

    床、花壇などの境界に一列に段差をとって並べた石。「ふち石」とも読む。

  • 拝み(おがみ)

    墓石の水鉢、香立などの前面据わりの部分に刻む意匠。別の意味で、垂直だったものが前に傾斜したときも「拝む」という。

  • 奥の院形灯籠(おくのいんがたとうろう)

    石灯籠の型の1つ。奈良・春日大社奥の院にあるものが本歌。受の上下に蓮弁を刻み、十二支を彫り干支方角に据えるといわれる。春日灯籠の基本型。

  • 納まり(おさまり)

    石据えを行なった最終時点。安定性、美観などが納まりの良し悪しとして判定される。

  • 押し目地(おしめじ)

    石積みで、合端にトロを押しこみ、目地棒(鏝)で引いた目地。

  • 落とし(おとし)

    左右の石を据えてから、その間に落とすように据える石のこと。

  • 織部形灯籠(おりべがたとうろう)

    基礎のない、竿が活込み式の灯籠。竿石上部を平面に、左右に丸いふくらみを持たせる。桂離宮にあるものが名品とされている。