いしずえ
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新素材研究所「硝子の茶室 聞鳥庵」
硝子の茶室 聞鳥庵(もんどりあん)
Glass Tea House Mondrian
2014年
ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展
新素材研究所 / 杉本博司+榊田倫之
新素材研究所が2014年のヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展でパビリオンとして発表した、現代美術作家・杉本博司による「硝子の茶室 聞鳥庵/Glass Tea House Mondrian」は世界を驚かせた。設置場所は、サンジョルジョ・マジョーレ島にある建築家アンドレア・パラーディオが建てたカテドラルの隣り。“水の都市”として、また“ヴェネチアンガラス”でも名高いヴェネチアの文化と日本文化との対比・融合を狙い、水・ガラス・茶室の三要素による構成とした。
約600㎡という敷地を伊勢神宮内宮の塀をモチーフにした垣根で囲い、路地をつくり、ヴェネチアの街で使用されていた石畳の石を計算された配置で敷いた。古代ローマを思わせる石造遺品を点在させ、歩を進めるたびにその先の風景への期待感を募らせる。そして路地を抜けると、あざやかなヴェネチアのモザイクガラスを用いたブルーに染まるリフレクティング・プールと、その水面に浮かび上がる静謐な茶室空間が人々を出迎える。水のなかを茶室へと導くのは荒々しいくらいの奈良石である。世界中の人がそれらの石を踏みしめ、日本文化の奥ゆかしさを体感した。展覧会のオープニングセレモニーではこの「聞鳥庵」で茶会が催されたという。
この発表は各国で高く評価され、2018年10月16日から2019年2月17日までフランス・ヴェルサイユ宮殿で開催の杉本博司の個展でも「聞鳥庵」はパビリオン展示された。
*追記
「硝子の茶室 聞鳥庵」は現在(2021年1月31日(日)まで)、京都市京セラ美術館の日本庭園内に設置されています。ぜひ実物をご覧ください!
◇京都市京セラ美術館 https://kyotocity-kyocera.museum/
茶室「聞鳥庵」へと続く路地の景色とリフレクティング・プールに置かれた奈良石。路地は伊勢神宮内宮の塀をモチーフにした垣根で囲い、足元にヴェネチアの街で石畳として使われていた石を敷く。奈良石は奈良の旧家の庭に置かれていたものとされる
All photos: (c) Hiroshi Sugimoto / Courtesy of New Material Research Laboratory
*「月刊石材」2019年2月号より転載
内容は同号掲載当時のものです
◇「硝子の茶室 聞鳥庵」
Glass Tea House Mondrian
用途:仮設パヴィリオン/茶室
建主:Le Stanze del Vetro
Pentagram Stiftung
所在地:イタリア・ヴェネチア
完成:2014年
敷地面積:600㎡
茶室床面積:2畳
使用石材:ヴェネチアの敷石、奈良石 他
株式会社新素材研究所
https://shinsoken.jp