いしずえ
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ブルガリアから石彫家を招き、日本石材産業協会が国際交流事業を実施
ブルガリアから石彫家を招き、
日本石材産業協会が国際交流事業を実施
イヴァン氏のモニュメント制作風景。使用石材は茨城県産のやさとみかげ
一般社団法人日本石材産業協会(石産協、森田浩介会長)は、ブルガリアの石彫家であるイヴァン・ストヤノフ氏を招き、国際交流事業を実施しました。企画したのは同協会の加工部会(北島敏行部会長)で、イヴァン氏によるモニュメント「Prayer for peace(平和への祈り)」の制作と、2024年11月3日には同氏を交えて「第16回石材加工講習会 in 茨城」を茨城県笠間市内で行ないました。
イヴァン氏は1981年生まれ。ブルガリア国立アカデミー大学院を卒業し、石彫や油絵、木彫などさまざまなジャンルを得意とし、世界中で活躍するアーティストです。日本には2024年10月5日に来日し、茨城県桜川市にある岩瀬石彫展覧館で約1ヵ月間、モニュメントの制作にあたりました(2024年11月6日に帰国)。
イヴァン氏が滞在しながらモニュメントの制作にあたった岩瀬石彫展覧館(上)。2階にはイヴァン氏が描いた絵なども展示された
北島部会長は今回の事業について、「戦争が各地で起きているなか、石産協として平和のモニュメントを制作し、来年の大阪・関西万博に作品を展示して世界中に平和を訴えたい。また、ブルガリアとの技術、文化交流が目的です」と話しています。
ブルガリアとのつながりは、石産協会員で、岩瀬石彫展覧館を運営する㈱綜合美術工房の浅賀正治氏がアーティスト・イン・レジデンス「石彫千年の交感」を実施するなかで、何度もブルガリアの石彫家を招いていたことから。
【左】左から北島部会長、イヴァン氏、浅賀氏【右】約5tあった加工前の原石(写真提供:石産協)
2024年11月3日に開催した「加工講習会」には31名が参加。午前中は座学講習で、午後の実技講習では、参加者一人に対して一枚のプレート石(10㎝角)が用意され、各自がアルファベット一文字を彫刻。全文字が揃うと平和へのメッセージとなり、講習会終了後はイヴァン氏制作のモニュメントの台石にその文字が貼られました(仮止め)。
加工講習会における実技講習のようす(茨城県笠間市大池公園、いばらきストーンフェスティバル2024会場内)。参加者が彫ったプレート石はテーブルに並べられ、「We sincerely hope that the world will be at peace forever.」(世界がいつまでも平和でありますように)という英文になった。使用石種は大阪府産の和泉砂岩、岐阜県産の恵那錆石(花崗岩)、新潟県産の千草石(安山岩)、新潟県産の釜澤石(安山岩)の4石種
【左】加工講習会に参加した皆さんとスタッフの皆さん【右】加工講習会中、イヴァン氏はモニュメント裏に自身のマークを刻んだ
座学講習では、午後から行なう石材加工などを学んだ(イオン笠間店、ポレポレルーム1階)。通訳は大蔵山スタジオ㈱の山田能資社長が務めた(写真右、左側)
イヴァン氏は自身の彫刻について、「自然や歴史の記憶を感じてもらえる静かな言葉である。今回の作品からは、平和に対する祈りを感じてもらえるでしょう」と話しました。
平和のモニュメントの大きさは、石像が232×86×89㎝(3.8t)、台石(やさとみかげ)が150×150×50㎝(3t)。大阪・関西万博のブルガリアパビリオンへの設置が現在、ブルガリア大使館との間で検討されている
◎一般社団法人日本石材協会
https://japan-stone.org/