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三県合同で「のみ焼き講習会」開催 福島県須賀川市で(2025年1月)

2025.07.10

その他

三県合同で「のみ焼き講習会」開催
福島県石材業技能士会、山形県石材技能士会、埼玉県石材業協会青年部が福島県須賀川市で


三県合同の「のみ焼き講習会」に参加された皆さん


 福島県石材業技能士会(小松多美夫会長)・山形県石材技能士会(原田允一会長)・埼玉県石材業協会青年部(仁村武史会長)の三団体は2025年1月16日・17日の2日間、江持石を採掘している東北石材石崎商会有限会社の江持山作業所(福島県須賀川市)で、「のみ焼き講習会」を合同で開催した。これまでは団体ごとに開催していたが、三県合同は今回がはじめて。福島・18名、埼玉・9名、山形・4名と、総勢31名が参加した。

「のみ焼き講習会」のようす。ふいごを使って火を熾す姿もあった

 

各自が持参した道具だけではなく丸棒が用意され、のみづくりから焼き入れまで行なうこともできた

 

福島県須賀川市にある東北石材石崎商会㈲の江持山作業所(左)と江持石の採掘場


 福島県石材業技能士会の小松会長は、三県合同に至った経緯をこう話す。

 「昨年(2024年)の6月、福島県郡山市で開催された全国石材技能士会の総会時に埼玉の小川明彦さん、木村希さん、山形の原田允一さんに『福島の技能士会では年初めにのみ焼き講習会を開催しています』といったことを話したら、埼玉や山形でも開催しているということでした。そこで『一緒にやってみるか』という話になりました。技能グランプリ(昨年3月)の際も同様の話題がありましたが、『実際にやってみようか』という話になったのは総会のときです」

 福島県石材業技能士会では、小松会長が就任してから「のみ焼き講習会」を実施しており、今回で6回目。山形県石材技能士会は過去に2回、埼玉県石材業協会青年部では10年以上前から1月始めに新年会を兼ねてのみ焼きを行なっていた。

 今回の講習会では、福島県石材業技能士会の野崎英治さん(野崎石材工業)と北住昌洋さん(北住石材店)が講師役となり、道具づくりから焼き入れなどを指導。野崎さんは「新年の仕事始めとして30年間、のみ焼きを行なっている」といい、自分でつくった矢、バール、つるはし、目地ごてなどの道具も今回持参した。

「道具づくりは父親に教わりました。新年は一週間ほどかけて、のみは毎年百本ほど焼いています。コヤスケは自分でつくり、買うことはないです。石屋たるもの、のみ焼きくらいできないとだめでしょう」と野崎さん。

【左】のみの焼き入れを実際に行ないながら、【中】参加者に説明する野崎さん講習会2日目の朝、模型を使ってのみの焼き入れについて説明する野崎さん【右】野崎さんが持参した自作の道具


 北住さんはふいごを持参し、「明治時代のもの。親方から譲り受けた。年に一回は使っている」といい、講習会では実際に火熾しに使用した。



  【左】のみの仕上がり具合を確認する参加者【右】焼き入れや焼き戻しなどを説明する看板も用意された

 

 講習会後、山形県石材技能士会の原田会長に感想を聞くと、こう話してくれた。

 「山形での講習会の参考にしたいと思っていましたが、レベルがぜんぜん違い、ものすごく勉強になりました。福島の方を講師としてお招きして開催することも検討していきたいです」

 埼玉県石材業協会青年部の仁村会長は、こう話してくれた。

 「産地の方と町の石屋では道具も違い、とても勉強になりました。また、のみの頭の焼き方は知らなかったので、気づきが多かったです。合同開催は初の試みでしたが、今後も他県と交流を図っていきたいですね」

 来年以降の実施については、「皆さんと話し合って決めるが、ぜひ、継続してやっていきたい」と福島県石材業技能士会の小松会長。野崎さんは「焼き入れなど、年に一回だけなら、五、六年続けないと覚えることはできない」という。

 初日夜には三県合同の懇親会も開催されており、親睦も図った今回。次回の講習会は未定だが、ぜひ開催してもらいたい。

右から山形県石材技能士会の原田会長、東北石材石崎商会㈲の石崎高志社長、福島県石材業技能士会の小松会長、埼玉県石材業協会青年部の仁村会長

 

『月刊石材』2025年3月号(3月15日発行)より、一部変更して転載