いしずえ
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新素材研究所「護王神社」
護王神社
Appropriate Proportion
2002年 香川県・直島
ベネッセアートサイト直島(家プロジェクト)
杉本博司
近年、アートスポットとして人気を集める瀬戸内の直島に現代美術作家・杉本博司が再建を手がけた「護王神社」は建つ。杉本が建築を始める原点となったプロジェクトであるという。
この護王神社は、直島の人々の信仰の対象として江戸時代から祀られてきた。1998年より瀬戸内の島々を舞台に展開されるベネッセアートサイト直島の家プロジェクトの一環として、杉本がその改築を担った。本殿と拝殿は伊勢神宮など初期の神社建築の様式を念頭に、さらに自身の美意識に基づいて設計した。
白い玉石を敷き詰めた地下には、巨大な岩盤をくりぬいた石の空間をつくる。その石室と本殿は、石室の天井、つまり拝殿の床になる大きな一枚石をはさんでガラスの階段で結ばれる。
地下に巨大な石室を設ける
本殿と石室をつなぐガラスの階段
アートでもあるがゆえ、地上の境界内に足を踏み入れることはできないが、隧道トンネルから石室内へと進入できる。一切の灯りのない暗闇のなかを進むと、人々はやがてまばゆい自然光に包まれる。地下と本殿をつなぐ、その光に満ちたガラスの階段は、一体誰のためにつくられたものなのか――人々はそこでふと考え、光のなかに何かを見出し、感動を得るのである。
この隧道トンネルの構想は15年の歳月を経て、2017年、小田原の江之浦測候所にも採り入れられている。
護王神社全景
All photos: (c) Hiroshi Sugimoto / Courtesy of New Material Research Laboratory
*「月刊石材」2019年3月号より転載
内容は同号掲載当時のものです
◇護王神社(Appropriate Proportion)
設計:杉本博司
設計協力:木村優、設楽敏生(アートステーション)
施主:ベネッセホールディングス、公益財団法人福武財団
使用石材:万成石(拝殿)、直島の岩盤
株式会社新素材研究所
https://shinsoken.jp