特別企画
お墓や石について、さまざまな声をお届けします。
作品が誰かを勇気づけ、前向きにできれば、とてもうれしい―望月正幸氏
1年計画のお地蔵さんづくり
自分のために「挑戦する価値はある」
――最初につくったものは何ですか?
望月 お地蔵さんです。でも、当時はいまよりももっと筋力が落ちていたし、1日中ずっと同じところに刃を当てていても、なかなか削れませんでした。だから、最初は「1年計画でつくろう」と。「1日に1立方センチでもいいから削っていこう」という気持ちでした。正直にいうと、最初からお地蔵さんなんてつくれるとは思っていなかったのが本当のところです。
でも、「挑戦する価値はあるな」と。自分のためにチャレンジするしかなかったですね。
――すごいですね。そこに本当の生きがいがあるように感じます。お地蔵さんづくりは、やはり1年くらいかかりましたか?
望月 いいえ、2ヵ月くらいです(笑)。それまでつくったことがなく、誰も教えてくれないので何度も絵を描き直したりして、まったくの自己流ですが、毎日ずっと削っていたら、「あ、できた」と。母も「あら、できたね」とあっさりした感じでした(笑)。
――そんな感じですか(笑)。
望月 でも、難しいものですよ。お地蔵さんの次には、家にあったコアラのぬいぐるみを手本にしてコアラをつくりましたが、外の通り沿いに置いておいたら、近所の小学1年生か、2年生くらいの子たちが「これ、何だろう?」「象でしょう」って話しているんです(笑)。まあ、確かに象にも見えるから反論できませんけど、子どもって正直ですよね(笑)。
左が退院後に初めて彫ったお地蔵さん(作品「希望」)と、右は作品「マイ・ウェイ」。正幸さんは「いつか誰かを勇気づけ、前向きにできれば、とてもうれしい」と話す
作品「葛藤」
コアラだが、近所の子どもたちには象に見えたというかわいいエピソード付き!