いしずえ

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望月正幸の石材アート

2022.04.25

その他


望月正幸の石材アート

望月正幸の石材アート
(望月石材店 / 山梨県富士川町)


望月正幸さん(1978年生まれ)は高校2年生(17歳)の冬、交通事故に遭いました。首の骨を脱臼骨折するなど意識不明の重体で、事故から10日ほど経った頃に病院のベッドでようやく意識が戻りますが、声は発せられず、全身もまったく動かせない状態に。事故のときの記憶はなく、朦朧(もうろう)とする意識のなか、母から教えられて初めて「事故に遭った」と悟ったそうです。

幼い頃から石工である祖父、そして父の仕事を見て育ち、「必ず家業を継ぐ」と決めていた正幸さん。しかし脊椎(せきつい)に損傷を受けたことで、全身の筋肉を動かす運動神経や感覚神経、そして自律神経までにも障害が及びます。毎日、辛いリハビリを続けながら家族や友人らの支えを得て、ようやく退院したのは21歳の8月末。いまも重度の障害が残り、両手両足などを思うように動かせず、リハビリを続けながら車椅子での生活を余儀なくされています。

しかし、正幸さんは諦めませんでした。退院の翌年3月から、自分では持つことのできない電動工具に金具を取り付け、手の指にひっかけるようにして石を擦り(研磨)、さらに同年10月頃からは削る作業(彫刻)を始めます。最初の作品はお地蔵さん(作品「希望」、下写真)で、「1年かけてつくってみせる!」と計画しますが、何と約2ヵ月で完成! その後、いままで80点を超える石の彫刻作品をつくられています。

正幸さんの作品からは、決して諦めずに前を向くことの大切さを教えられ、また“生きる勇気”さえもいただけます。ここではその一部を、各作品に添えられる正幸さんの思い(詩)とともにご紹介します。

なお、正幸さんのインタビューも掲載しています。あわせてご覧ください。


望月正幸の石材アート

「希望」(お地蔵さん)
先の見えない真っ暗な闇の中
遠くで何かが光った気がした
とにかく、まずは行ってみよう
たとえそれがガラスの欠片だとしても


望月正幸の石材アート「葛藤」(コアラ)
あーでもない、こーでもないと
考えて、考えて、考えて、考えて
疲れるまで考えたら、
まずは一度やってみよう
失敗したっていいじゃないか
そこから学んで、進んでいければ



望月正幸の石材アート
「一歩前へ」
(いわとびペンギン)

人間は、
一歩前に歩き出すまでに、1年はかかる
だから、焦らずじっくりやろう!