いしずえ
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最優秀作品賞は鳴海篁さんに決定! 第2回墓デミー賞授賞式
表彰後の記念撮影。左から藤原巧審査委員長、日高里枝氏(朗読者)、受賞者の平野和美さん、鳴海篁さん、服部弘太郎さんの代理で市橋さん、大橋理宏実行委員長(写真提供:墓デミー賞実行委員会)
お墓参りの写真に作文(お墓や故人にまつわるエピソードなど1,200字以内)を添えて応募する一般向けの公募企画、第2回墓デミー賞(主催=同実行委員会)の授賞式が昨年11月24日、東京都中央区のAP東京八重洲の会議室にて開催されました。
お墓の改葬(いわゆる墓じまい)が増えるなか、お墓の大切さを見直してもらうことを目的としたコンテストで、今回は昨年4月15日から同年10月31日までを募集期間として、全国から応募がありました。そして審査の結果、北海道札幌市の鳴海篁(なるみこう。ペンネーム)さんの作品「もう、怒ってないよ」が最優秀作品賞に選ばれました。
鳴海さんの作品は、コロナ禍の心労により自死してしまった友人への思いを綴ったものでした。その友人は自死を決意し未遂に終わりますが、ショックを受けた妻子が去り、入院先の病院で孤独を極めていましたが、そのとき鳴海さんは「家族が戻るまで何とか」という思いで度々訪問し、友人の話し相手になっていました。
そして季節が変わり、冬を迎えたある日、その友人から何気ないメッセージが届きます。鳴海さんはそれに応じ、次の訪問日をいつにするか質問しますが、返信はありませんでした。その2日後に友人の奥様から電話があり、他界したことを知らされました。
その後、自責の念に駆られた鳴海さんは悲しみや後悔、怒りなどさまざまな負の感情に襲われ、心身を病み、起き上がれなくなってしまいます。
それから半年後、鳴海さんはふと思い立って友人のお墓参りへ行き、そこで友人の死を受入れ、会話のやりとりをすることで心の負担(負の感情)が軽減し、平常心を取り戻します。そしてお墓は「(死者と生者が)互いに赦し、赦される場」という役割があることに気づくのです。そうした一連の出来事と心情の変遷を繊細に表現した作品でした。
優秀作品賞には以下の3作品が選ばれており、授賞式会場では舞台女優の日高里枝さんが、これら4作品を朗読しました(各受賞作品は、墓デミー賞の公式サイトに掲載されています)。
・「愛妻のお墓」(兵庫県西宮市、初田稜二さん)
・「忙しい涙」(東京都品川区、平野和美さん)
・「墓前にて」(神奈川県川崎市、服部弘太郎さん)
授賞式の会場に並べられた各受賞作品の写真パネル。手前左が最優秀作品賞
(写真提供:墓デミー賞実行委員会)
同コンテストの名づけ親で審査委員長を務める藤原巧氏(岡山県倉敷市、孔雀株式会社)は「前回より応募件数は少なかったが、今回は一段と『お墓愛』あふれる、心に響く作品が多く寄せられた」と振り返っています。
また大橋理宏実行委員長(神奈川県横須賀市、株式会社大橋石材店)は「一つひとつの作品に触れるなかで、どんな別れ方をしたとしても、生者と死者をつなぐ場、亡き人と向き合う場として、やはりお墓は必要なのだという思いを改めて強くしました」と述べています。
なお本コンテストは、今年も引き続き第3回目の開催が決定しており、詳細等は下記の公式サイトで発表することになっています。
◎「墓デミー賞」公式サイト
https://www.gotograve.com/