いしずえ

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新素材研究所「法隆寺 若草伽藍礎石」(小田原文化財団 江之浦測候所)

2020.11.11

建築・造園・石垣



法隆寺 若草伽藍礎石
飛鳥時代
(小田原文化財団 江之浦測候所)

新素材研究所 / 杉本博司+榊田倫之

江之浦測候所は、杉本博司が構想する一つのランドアートである。有史以前の太古から現代まで息づく石をふんだんに使い、周囲の森と眼前の海、そして太陽の運行という壮大な自然の摂理までを建築を含めた空間全体の設計に反映させている。そのすべてが、千年後、一万年後という想像を超えた未来に暮らす人類へのメッセージでもある。

「法隆寺 若草伽藍礎石」は江之浦測候所のなかにひっそりと、ただ圧倒的な寡黙さで据わる。日本書紀には、法隆寺は天智九年(670)4月30日早暁に焼失したと記される。若草伽藍は明治期に発掘されたが、この礎石はその際に民間に流失したものと思われる。


いま江之浦測候所に迎えられたこの石は、頑なに動じず、一見何も語らないと思われる。しかし、実は私たちの知りえない壮大な物語を内包し、メッセージを発し続けているのである。

江之浦測候所の基本設計とデザインを監修する新素材研究所は、日本の伝統や素材、工法と、現代の様式とを組み合わせた新たな空間づくりに挑む。そのなかで原石や石造物、人々の生活のなかで使われてきた石など、多様な石の存在に着眼し、その石たちが未来へと生き続ける場をつくり続ける。


All photos: (c) Hiroshi Sugimoto / Courtesy of New Material Research Laboratory


*「月刊石材」2019年1月号より転載
内容は同号掲載当時のものです


◇江之浦測候所 施設概要
構想:杉本博司
基本設計・デザイン監修:株式会社新素材研究所
実施設計・監理:株式会社榊田倫之建築設計事務所
施工:鹿島建設株式会社
石工事:株式会社小林石材工業

公益財団法人小田原文化財団 江之浦測候所
所在地:神奈川県小田原市江之浦362番地1
Tel. 0465-42-9170
www.odawara-af.com
休館日:火・水曜日、年末年始および臨時休館日
入館料:3,000円(税別)
※見学は事前予約制。公式ウェブサイト(上記)より

株式会社新素材研究所
https://shinsoken.jp