いしずえ

お墓や石に関するさまざまな注目情報を発信します。

東日本大震災で倒壊。地元「白河石」で鳥居を再建/深谷加工石材店(福島県白河市)

2020.11.13

石仏・灯籠・鳥居

 

 福島県白河市にある天神神社に2015年1月28日、地元「白河石」を使用した八幡型鳥居(10尺)が建立されました。東日本大震災で倒壊したものの再建で、部材はすべて新品。神社近くに住む氏子さんが奉納し、震災発生から4年を前に、神社のシンボルが再生しました。

白河石の鳥居

 鳥居を施工したのは、福島県白河市内にある深谷化工石材店(深谷勝美代表)。鳥居の材料となった白河石は(黒目)の採掘元である有限会社田中石材店(田中茂社長)から依頼された仕事で、加工もすべて深谷加工石材店が行ないました。
 
 深谷さんは、鳥居の建立について次のように話します。

 「鳥居を建てる際に難しいのは、やはり『半転び』という柱の角度。『2本足でよく持つな』などと言うけど、絶妙のバランスだと思います。貫のホゾ穴は抜きすぎると身(柱)が薄くなってしまい、そこから折れてしまうので注意が必要。笠木のバランスも柱を中心に、据えています」

 

~ 写真で見る鳥居の据え付け作業 ~

トラックの荷台に積まれた今回の部材

施工日の4日前に基礎工事を行ない、2日前に足場を組んだ

トラックに積んだ部材を一つずつレッカーで降ろしながら作業を進めていく
 白河石の鳥居向かって右側の柱を、基礎石の上にまず立てる

白河石の鳥居続いて向かって左側の柱を、基礎石の上に立てる

白河石の鳥居中貫を据える

白河石の鳥居額束の「天神々社」など、鳥居に刻んだ文字は、すべて薬研彫り

白河石の鳥居中貫を据えた後に、両柱の上に台輪をのせる。
額束はレッカーで足場まで移動

額束はカートクレーンで再度吊り上げ、据え付けた

笠木と島木は一体で左右2本に分かれる。
まずは向かって右側を据える

白河石の鳥居続いて左側を据える。額束が落ちないように、
まだカートクレーンで吊って支える

左右の外貫をレッカーで吊りながら据える

向かって右側の柱に建立年月日、奉納者名を刻んだ

今回の鳥居再建工事に関わった皆さん。
左から深谷加工石材店の深谷代表
有限会社田中石材店の田中社長
深谷加工石材店の深谷定伸さん
しらかわ石材の小松多美夫さん

 

 深谷さんがこれまでに建てた鳥居は7、8基。ただし、10尺の大きさの鳥居は初めてで、また今回は自社加工でした。震災復興に伴う工事でもあり、以前とは思い入れが違う鳥居の建立となりました。

 東日本大震災では、灯籠や階段なども崩壊した天神神社。2014年からそれらの復旧工事が行なわれ、今回の鳥居の再建により一連の工事は終了。同年1月31日には、白河市長などが出席し、盛大に落成式が行なわれました。

◎深谷加工石材店
 福島県白河市久田野北裏11
 TEL:0248-22-1775
 https://www.stone-fks.jp/

◎有限会社田中石材店
 福島県白河市津町44-2
 TEL:0248-23-2057

※『月刊石材』2015年3月号より転載