いしずえ
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現代サーカスと庵治石が初のコラボレーション。瀬戸内サーカスファクトリーが庵治産地でパフォーマンス!!
現代サーカスと庵治石が初のコラボレーション
瀬戸内サーカスファクトリーが庵治産地でパフォーマンス!!
スラックワイヤー(ゆるく張ったワイヤー渡り)のパフォーマンスと、器材を固定する庵治石製のウェイト(左)。庵治石製の「空中石」を使ったエアリアル(空中演技)のパフォーマンス。石は6メートルの高さからつり下げられている
瀬戸内サーカスファクトリー(田中未知子代表)が2022年10月22日・23日の両日、(株)オオクボエンタープライズ(大久保一彦社長)が管理し、庵治産地にある大石産業工場跡で、現代サーカス公演「CIRCUS × FACTORY 」を開催した。
瀬戸内サーカスファクトリーは、日本における現代サーカスのパイオニアとして2011年から現代サーカス公演やフェスティバル開催など、数多くの事業を手掛けてきた。
「CIRCUS × FACTORY 」は、現代サーカスと地域産業や工芸などの技術を掛け合わせて舞台美術や大道具などをつくり、表現していくプロジェクト。今回の公演ではエアリアル(空中演技)で使用する庵治石製の「空中石」やスラックワイヤー(ゆるく張ったワイヤー渡り)の器材を固定する庵治石製のウェイト、木製のステージが登場し、サーカスアーティストがそれらを使ってパフォーマンスした。
木製ステージ上でのパフォーマンス(左)とパフォーマンス後のディスカッションのようす
会場を提供した大久保社長と瀬戸内サーカスファクトリーの田中代表は10年来の知り合いで、田中代表は現代サーカスを「以前から庵治産地で開催したいと思っていた」という。また、大久保社長は同ファクトリーの公演を何度か見ており、「毎回進化していました。今回、このようにコラボレーションできて光栄」と話す。
両日とも1日3公演(1公演=3時間)で、前半がパフォーマンス、後半がアーティストとサーカス道具の制作者等によるディスカッション。2日間で合計400名近くが来場し、現代サーカスを楽しんだ。
「空中石」を使ってエアリアルパフォーマンスを披露した吉田亜希さんは、公演後のディスカッションで感想をこう述べた。
「初めて石に乗りました。普段は布や輪などを使っていますが、石の遠心力により円運動がうまくできました。いままでにない動きで、石の重みにより安定したと思いますが、飛び出しそうでもあり、新しい感覚でしたね(笑)」
吉田さんはシルク・ド・ソレイユアーティストバンク登録など、国内外で活躍するアーティスト。半年間の練習を経て、本番に臨んだという。
「石の下に入るとものすごく圧力を感じます」と吉田さん。奥にいる女性はパフォーマンスに合わせて即興で楽器を演奏したオペラさん
今回の公演にあたり、庵治石製の「空中石」とワイヤーウェイトを制作したのは、庵治産地の加工業者である石屋TATA&アキホタタ(高松市牟礼町)。「空中石」の重さは約40キロ、ワイヤーウェイトは1つが十数ピースからなり、一ピースの重さを20~30キロにして、いずれも手で運べる大きさにした。
「空中石」の直系は30センチ、重さは約40キロ。上半分は乗ったときに足が滑らないように、旋盤で加工したままの仕上げ。下半分は磨きとサンドブラスト仕上げで模様をつけた。ボルトとナットをつなぐ座金は、石が回転した際に、ボルトとナットが回転して抜けないように四角にした
サーカスの来場者を前に、ワイヤーウェイトの説明をする石屋TATAの太田眞介さん(写真上、左から2人目)。石は全体で約400キロ。表面から矢穴が見えないように石を割った。13ピースからなり、アンカーボルトのハンドルを取り付けて持ち運ぶことが可能。写真下右のワイヤーウェイトは、上のものとは別で、14ピースからなる
「石の里を多くの人に見てもらい、ここで何ができるかを知ってもらいたい。ここに住む1人として、皆がニコニコしてくれると嬉しいし、誇らしい。それは職人さんの力があってのことであり、若い人にも頑張ってもらいたい」
大久保社長はそう話す。(株)オオクボエンタープライズでは、庵治産地の加工技術の継承や庵治石のPRを目的に「狛犬コンベンション」も企画する(『月刊石材』2022年3月号、4月号、10月号参照)。今回の現代サーカスとのコラボも目的は同じである。同社の姿勢を業界全体で共有したい。
大久保社長(右)と田中代表
◎瀬戸内サーカスファクトリー
https://scf.or.jp/
◎(株)オオクボエンタープライズ
https://shop.o-enterprise.jp/