いしずえ
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岡崎:入校生募集中! 後継者育成、独立開業の夢を叶える「石屋の学校」職業訓練法人岡崎技術工学院
≪入校生募集中!≫
後継者育成、独立開業の夢を叶える「石屋の学校」
石都500年の技を習得し、未来を切り開こう!
職業訓練法人岡崎技術工学院
工学院の実技の授業で石材加工に励む訓練生(写真提供:岡崎技術工学院)
インターネットや電話一本で海外から簡単に製品を調達できる時代だからこそ、日本の石工職人が材料にこだわり、匠の技を駆使してつくる商品(あるいはその制作者)に対する評価はますます高まっています。少子高齢社会で働き盛りの若い職人が減少している現実を考えれば、なおさらのこと。そうした時代の変化と深刻な状況に危機感を抱いて、「一からものづくりを学びたい」「一人前の石工として独立したい」と考える人もいることでしょう。その夢を叶えてくれる「石屋の学校」が職業訓練法人岡崎技術工学院(大島義春理事長)です。同学院の石材加工科では現在、来年度入校する訓練生(石工研修生)を全国より募集しています。
座学ではさまざまな専門知識や実践的なノウハウが伝授される(写真提供:岡崎技術工学院)
ひと昔前まで、石材店の跡継ぎ(あるいは独立・開業を目指す方法)といえば、地元の中学または高校を卒業後、石都岡崎で数年ほど修業してから実家の仕事に就いたり、独り立ちするのが習わしでした。修業といっても、かつての徒弟制度ではなく、昼間は地元3組合(岡崎石製品工業協同組合、岡崎石工団地協同組合、協同組合岡崎石製品工場公園団地)の事業所で石工研修生として勤務し、終業後、ひと月の約半分(主に火~金曜日の夜間、週2~3回)を同学院の訓練生として通学します。
同学院は、職業能力開発促進法(昭和44年法律第64号)に基づく愛知県認定職業訓練施設。入校できるのは、学卒者(中学・高校卒業者等)及び在職者が対象で、資格を持つ岡崎産地の事業所に勤務することが条件となります。実践的なプログラムでプロの石工を養成する石材加工科の訓練内容は、以下のとおりです。
【学科】
石材概論、石製品概論、石材加工法、石製品据付法、機械工学概論、建築生産概論、材料、安全衛生、設計及び製図、関係法規、仕様及び積算
※各科目の講師は、地元三組合で職業訓練指導員の資格を持つ事業者等が担当します。
【実技】
石材加工実習、石製品据付実習、器工具使用法、機械操作基本実習、安全衛生作業法
※基礎実技の一部を除いて、実技全般は各事業所にて実施されます。
また、特別教育として、石の丁場見学やドローン講座のほか、労働安全衛生規則に基づく研削といし及び丸のこ等の取り扱いに加え、足場組み立てやアーク溶接の作業に必要な各種教育も受けられます(安全教育修了証の授与あり)。さらに授業の一環として、スポーツ大会や修学旅行研修などもあり、研修生同士及び講師との絆を深めるよい機会となっています。以上の学科・実技を3年かけて習得し、全科目を修了すると、石材技能検定「石材加工2級」の受験資格(学科試験免除)などの特典が与えられます。
岡崎産「宇寿石」の丁場で説明を受ける工学院の訓練生(写真提供:柴田石材工業所)
これまで同学院の石材加工科で学んだ卒業生は、今春卒業した66期生まで含めると、全国で延べ1,113名。卒業後の進路は、お世話になった事業所でそのまま仕事を続けるケースが多く、そこで数年ほど腕を磨いた後、実家の石材店を継いだり、独立して自分の店を開業するなど、それぞれが石都岡崎で学んだことを武器として活躍しています。実家が石材店の場合、親子2代どころか、孫の代まで3世代が卒業したという事例も見られます。
令和5年3月で卒業する第66期生の修了式で、お世話になった先生方や在校生らと一緒に撮影した記念写真(岡崎技術工学院提供)
現在の在校生は6名(2年生と3年生が3名ずつ)。かつて一学年に50名以上が在籍していた時期もありましたが、ここ数年は減少傾向にあります。こうしたなか、同学院に入学するメリットについて、大島義春理事長(大島組、岡崎石工団地協同組合)は次のように説明します。
「本学院では現在、17名の講師がそれぞれの科目を担当しています。科目は石碑・石塔、灯ろう、石仏・彫刻、材料、製品、石材加工、石積み、字彫り、仕様及び積算など多岐にわたりますが、各分野で豊富な経験と実績を積んだ方ばかり。その貴重な知識や技術を習得できることに加え、あるいは人生の先輩として学べることもたくさんあります。訓練生は、中学・高校を卒業した若い年代だけでなく、大卒や転職を機に入学される方もいます。苦楽を共にした訓練生や講師の皆さんとの絆や友情は、卒業後も仕事での付き合いや助け合い、あるいは(歴代OBを交えた)定期的な交流などもあるため、一生の財産となります。技能五輪全国大会・石工職種は『石都岡崎のお家芸、独壇場』ともいえる競技会で、本学院からも数多くの優勝者・入賞者を輩出しましたが、現在は開催条件(出場エリア・人数など)を満たしていないため、2年前から開催されていません。しかし条件が整えば、復活できるかも知れません。そのとき、全国大会で優勝すれば世界大会に出場することもできるでしょう」
大島義春理事長。
岡崎市の乙川河川緑地で開催されたイベントに出展し、OBの作品を展示販売した
なお、同学院入学時と在学中に支払う金額は、県・市の補助金等があるため、最小限の負担で済む。入学金25,000円、教材費(教科書・材料費等)2万円。その他、安全教育受講料12,000円(4コース分)、訓練生傷害保険代約25,000円(振込手数料込み)。これに3年分の授業料18万円(年6万円を4期に分けて15,000円ずつ支払う)を加えた262,000円ほど。地方出身の訓練生は、事業所の寮に入るか、アパートなどを借りて生活しますが、その費用は別途負担となります。これにより手加工という他社との差別化が図れる一生の武器を入手し、「石都岡崎の卒業生」という誇らしい肩書を名乗れるのですから、先行投資としては格安といえます。
石都岡崎の歴史は、岡崎城の城郭整備やその後の町づくりに伴って繫栄した500年ほど前(室町時代後期)までさかのぼるとされます。「岡崎石工品」は伝統的工芸品に指定され、全国に知られる存在となっていますが、それも匠の技を代々受け継いできた石工や伝統工芸士の存在があればこそ。その本場岡崎で実践に役立つさまざまな知識・技術・技能を学ぶことで、石工として、また一人の人間としても大きく成長できるし、これまでと違う視点で新たな仕事や未来を切り開くチャンスが生まれるでしょう。
令和6年度の入学願書の受け付けは、令和6年3月中旬から4月初旬まで。入校式が4月中旬なので、それに間に合えば直前でも大丈夫です。同学院及び勤務先の事業所に関する情報、事前見学の申し込みなど、詳細等の相談は下記までお問い合わせください。
◎職業訓練法人・岡崎技術工学院
所在地:愛知県岡崎市羽根町小豆坂117‐3
TEL:0564‐53‐3521
http://www.kougakuin.ecnet.jp/
【岡崎技術工学院の在校生(2年)と卒業生にインタビュー】
新たな発見と学びの日々で成長を実感
令和4年度入学(2年目)/亀田敬祐さん(31歳)
亀田敬祐さん
前職の勤務先は岡崎市内の寺院(亀田家の菩提寺)。そこに出入りしていた(有)杉本石材店(公園団地、杉本敬雄社長)と顔見知りになり、繁忙期の仕事を手伝った縁で、興味本位で石の叩き方を教えてもらっているうちに石の仕事が面白くなり、「気づいたら同社へ転職し、工学院に通うことになった」といいます。市内にある自宅からの通勤・通学で、昼はお墓や灯籠など現場に出る仕事が多く、工場では灯籠づくりに励んでいます。
父親はサラリーマンで、石やお墓とは無縁だったので、工学院では「石に関する新たな発見や学びがたくさんあり、日々成長していることを実感しています。在校生とは定期的な飲み会があり、楽しい時間を共に過ごしながら連帯感や仲間意識も高まっている」と話します。当面の目標は、石材加工2級を取得すること。「具体的な展望はまだ決まっていないが、将来は一つの仕事に特化せず、お墓や灯籠、彫刻などいろいろな仕事ができる職人になりたい」ということです。
岬型灯籠の笠をつくる亀田さん
父と兄に続いて石都岡崎で修業
令和4年度卒業(第66期)/佐藤立誠さん(22歳)
佐藤立誠さん
実家は山形県鶴岡市で大正4年創業の老舗、(株)石屋熊出。父で社長の清さん(4代目)、兄の貢誠さん(5代目)ともに石都岡崎で修業しており、弟の立誠さんは今年3月に工学院を卒業しました。現在は修業先、石彫の戸松(石工団地、戸松政洋代表)に残って仕事を続けています。「兄の修業先が墓石メーカーでしたので、私は彫刻の道(石仏や狛犬、キツネ、フクロウなど)を選びました」と入学の動機を説明します。
アパートで自炊しながらの生活で、在学中は昼(仕事)と夜(工学院)の生活を両立させるのが大変でしたが、「充実した毎日で、楽しかった」と話します。いまでは「蓮華の彫刻を自分一人でつくれるようになった」といいます。実家に戻ってからのことを考えて、在学中にお墓ディレクター2級を取得(自費で受検)。石材加工2級も合格しており、「実家に戻ったら1級に挑戦したい」と意欲的。趣味はランニング。休日は神社仏閣を巡り、石造物などを見て過ごしているそうです。
第59回技能五輪全国大会「石工」職種に出場し、
ノミで課題作品を制作する佐藤立誠さん