いしずえ
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参道敷石修繕の研修会を開催 山形県石材技能士会が他組合と合同で
参道敷石修繕の研修会を開催
山形県石材技能士会が他組合と合同で
今回の研修会における修繕場所は、段差が特に気になる参道の入り口から観音堂へ向かう途中まで、距離にして約13メートル。作業は2班に分かれて行なわれた
山形県石材技能士会(原田允一会長)は2024年3月16日、山形市岩波にある石行寺で令和6年度研修会を開催した。石行寺にはご本尊(阿弥陀如来)とは別に、最上三十三観音第七番岩波観音「秘仏十一面観音菩薩」が祀られており、研修会では同観音を安置する観音堂の参道敷石修繕作業を行なった。また今回は同技能士会の呼びかけで、山形石工㈿、山形石工組合、山形県墓地景観創造研究会(山形県内の石材店で組織)のメンバーも集まり、合計8名が参加した。
「参拝者の方々が高齢化し、『ちょっとした段差が気になるようになってきた』という声が多くありました。どうすればよいかと思っていたところ、お寺に出入りしている石屋さんから昨年、『過去の研修会で、お寺の階段の修繕を行なったことがある』とお話をいただきました。皆さんには修繕作業を仕事としてお願いできればよいのですが、お寺の予算ではそれが難しく、石屋さんに相談したところ、『皆で話し合ってみます』ということで、本日に至っています」
石行寺の第58世・佐藤志亮住職は、研修会に至るまでの経緯をこう話す。「秘仏十一面観音菩薩」は12年に一度の御開帳で、前回は一昨年。コロナ禍により14年ぶりの御開帳となり、同年は年間に約2万人と多くの参拝者が観音堂を訪れ、参道を歩いていた。
観音堂の参道のまわりは墓地。
墓参者も普段から参道を歩くことから、参道整備は急務だった
今回の修繕場所は、段差が特に気になる参道の入り口から観音堂へ向かう途中まで、距離にして約13メートル。作業は2班に分かれて行なわれ、研修会であり時間も限られていることから、「作業は計画的に」と、事前に何度か打ち合わせをして当日を迎えていた。
この日は朝7時半にお寺に集合。開会式として佐藤住職の挨拶などがあり、その後すぐに作業を開始。昼食を挟んで15時頃まで修繕作業を行なった。バールや定規の使い方など、先輩が後輩を指導し、「同年代でも石の扱い方や道具の使い方は違う」といい、それぞれ勉強になった。「参道全体ではなく、敷石のところどころを直す難しさはあった」という声もあり、近世に敷かれたであろう敷石の大きさや厚みはバラバラで、石の裏面をノミではつる姿も見られた。
「全体ではなく、敷石のところどころを直す難しさはあった」という声もあり、近世に敷かれたであろう敷石は、大きさや厚みがバラバラで、石の裏面などをノミではつる姿も見られた
石の裏面をはつる
修繕作業の最後は敷石を水洗いし、参道を綺麗にして終了した
「これからもたくさんの方がお寺に来られると思いますが、参道入り口の敷石の段差は非常に気になる部分ですので、平らにしていただき本当に感謝です」と佐藤住職。今回修繕された参道の両側には、江戸時代から続く古い檀家さんの墓石が建ち並ぶこともあり、前住職の佐藤亮照氏も「研修会の場所として選んでいただきありがたいです」と話してくれた。
修繕前の参道(左)と修繕後の参道。修繕後は明らかに段差がなくなり、平坦になった。目地も整えられ、歩きやすくなった
山形県石材技能士会では毎年1回、研修会を開催している。昨年度は、2024年2月に開催された技能グランプリに向けた研修会を開催。過去にはノミ焼きや、佐藤住職の言葉にあったとおり、お寺の階段の修繕を行なったこともあった。
原田会長
研修会の最後には、佐藤住職のご厚意により観音堂にて護摩祈祷も執り行なわれた。今回は技能士会の会員以外の参加もあり、新たな研修会のスタイルとしても有意義な会となった。
研修会後の護摩祈祷のようす
◎新福山般若院石行寺
山形県山形市岩波114-1
http://www.shakugyouji.jp/