いしずえ
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都内現存最古の石造アーチ橋「常磐橋」(国史跡)が10年ぶりに開通しました!
東京駅日本橋口から徒歩数分の距離にあり、2020年秋に解体修理工事が完了していた「常磐橋」(国史跡)が5月10日、10年ぶりに開通しました!
常磐橋は1877(明治10)年に高欄付き二連アーチ橋として竣工。関東大震災後の昭和期の修理を経て今日に至っていましたが、2011年に発生した東日本大震災でアーチに損傷や変形が生じ、橋台の一部を残して2012年度から解体修理が行なわれていました(『月刊石材』2018年10月号・11月号で詳報)。
その被災状況の調査開始から工事完了まで丸10年。文明開化期に築造された、河川に掛かる橋としては都内現存最古の石造アーチ橋が、平成と令和の時代をまたいで見事に蘇りました。
修復に際しては、できるだけ旧材を使用し、伝統的な空積みによる石積み技術を保存しつつ、構造的な欠陥を補強・改善。また、旧材のほとんどが不揃いの転用材でしたが、そこにこそ時代の世相が現れているため、できる限り補修して用いたり、再加工して別の場所に転用するなど、新補石材率を下げる努力がなされました。
補修用の接材や新補材には、神奈川県真鶴町産の小松石と岡山県倉敷市産の犬島石を使用。高欄の親柱・中柱は築造当時と同じ茨城県常陸太田市産の寒水石で修復し、鋳物の手すり柵を支える地覆石は稲田石で補修・復元等が行なわれました。
多くの石工、石材業者が関わった「常磐橋」修復プロジェクト。東京へお越しの際は、ぜひご覧ください(東京都千代田区大手町2丁目7-2、日本銀行近くです)!
なお、「常磐橋解体修理工事」設計・監理を担当した㈱文化財保存計画協会・特任主任研究員の西村祐人さんをインタビュー(『月刊石材』2021年1月号掲載)を、下記からご覧いただけます。聞き手は西村さんの大学院時代からの恩師であり、常磐橋修理工事専門委員会(委員長=東京大学名誉教授・新谷洋二先生)の委員でもある東京大学工学系研究科社会基盤学専攻景観研究室・教授の中井祐先生に務めていただいた。
西村さんの「常磐橋」修復プロジェクトに込められた思い、また石材業界のあるべき姿を是非、お読みください。